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綿・絹・麻

2015年4月 6日

 以前お隣の庭に鮮やかなピンクの薄いシャツが物干し竿に揺れていた。その家のご夫婦は既に六十五歳を超えていて、普段は年齢相応な地味ないで立ち。和風の庭にひらめく派手なシャツは違和感がありその後何度か目にするたび気になっていた。ある日そのシ

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出会いと別れ

2015年3月 2日

 行かないと決めていたペットショップだったのに、何がそうさせたのか会社帰りふらっと入ってしまった。ケージの中の犬、猫の赤ちゃんたち。ガラス越しに目が合うとじっと見つめてくる。声をかけてくる店員さんには愛想のない顔をして、一通り見て回ると

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物語の世界

2015年2月 2日

 私が子供だった頃、今のように携帯電話もネットもゲームも無い時代。テレビも一家に一台が普通で、夜ともなればチャンネルは家長である父親が主導権を持つ。自室での娯楽といえば読書かラジオくらいのもの。小学校高学年ぐらいから周りには読書好きの友

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新年の風景

2015年1月13日

 いつもと変わりなく日が昇り沈む一日なのに、元旦の朝は違う。新たな一年が始まったというすがすがしい気持ちと、また一つ年を取るのかというしみじみとした感情。誰もが抱くであろう、そして年を重ねる分その思いが強くなっていくはず。  今年の三

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金縛り

2014年12月 1日

 深夜金縛りにあった。時計を見るとジャスト2時。  五十数年の人生で初めての経験だった。金縛りにあう人は繰り返し体験するという話を聞いたことがある。身近にそういう人も何人かいたが、その類の話は苦手だ。昼間でも聞きたくはない。耳を塞いで

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おたる水族館

2014年11月 3日

 行きたいなあと思いながらも行けずじまいになっていたおたる水族館。偶然にもこの二カ月連続で訪れることになった。先月は親族の法事の日、夜の会食までの空き時間を利用して一時間ほど。そして今回は職場の日帰りバス旅行で二時間ばかり。  季節は

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命がけの朝食

2014年10月 6日

 法事で小樽に行った。市内のホテルに親族が集まって一泊した。夜はホテル内のレストランの個室で和洋の創作料理を堪能。久しぶりに揃った親族は話が尽きることなく、ディナーの後も場を移して遅くまで酒を酌み交わしていた。  翌朝食欲などあろうは

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演じる人々

2014年9月 1日

 久しぶりに演劇を観に行った。札幌には数多くの劇団があり毎月何かしらの公演がある。もっと足を運びたいのだが狭い劇場の椅子は固くて辛い。背もたれの無いベンチシートで隣人と接近して座る場合は自由に身体も動かせず熱気だけがムンムン。体力的に余

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必要な物は

2014年8月 4日

 昨年地下鉄駅に近いマンションに移った時、車を処分した。引っ越しする前は交通の便の悪い場所に住んでいたので車は必需品。どこへ行くにも何をするにも車が無ければ生活できなかった。毎日私の生活を助けてくれるパートナーだった愛車を手放すのは悲し

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心鎮める

2014年7月 7日

 毎年カレンダーを7月に変える時「ああ、今年も半分が過ぎてしまった」と思うのは私だけではないだろう。先日行きつけの中華の店で生ビールを一杯飲んだ後ふと思い付き、その足で百円ショップへ行き写経のテキストと筆ペンを買って帰った。  思えば

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