老いを生きる
2024年10月 7日
父は今年米寿を迎えた。母が他界してから暫く一人暮らしをしていたが、持病のため毎日の見守りが必要になり、サービス付き高齢者向け住宅に引っ越した。略してサ高住である。私は一緒に住んでもいいよととりあえず提案はした。しかし仕事を持っているので日
山で一人暮らす女
2024年9月 2日
しぶといウイルスとの共存をしつつ、ほぼ日常を取り戻した私達。だが自然災害を始め、世界情勢、物価上昇やオーバーツーリズムなど、これでもかと負の風が吹き荒れている。アフターコロナはたくさん旅をしようと息巻いていたが、私の気持ちはすっかり萎えて
おだまり
2024年8月 5日
私は疲れていた。仕事では納期が波のごとく押し寄せて、長距離走者の日々だった。そんな状況の時、人は非日常を求めるのかもしれない。「旅に出よう」 CMの一シーンが脳内の銀幕に映し出された。土日含めて最低四日間の休みを取りたい。でも行き先は?
気になるお店
2024年7月 1日
最寄りの地下鉄駅の近くに、行きつけの八百屋がある。独自の仕入れルートを駆使しているようで、規格外品などの野菜を安く提供してくれる。品ぞろえも量も豊富とは言えないし、本日の目玉商品などは、売り切れ御礼。補充はできないので、早い者勝ち。でも安
MJ
2024年6月 3日
MJと聞いて、何を思い浮かべるだろう。アルファベット略が氾濫する時代、個々の頭に浮かぶものは一つではないかもしれない。 きっかけは分からないが、最近ユーチューブでMJを視聴するのが私の夜の日課となっている。MJとは、マイケル・ジャクソン。
もう一つの目
2024年5月 6日
ある朝、気づいた。札幌の地上へと上がるエレベーターの中で、ドアに貼られたステッカーである。"あぶないよ ドアにさわらないでね " 子供が手を出して怪我をしないよう、注意喚起のステッカーだ。ほぼ毎日目にしていたにもかかわらず、こ
オフには注意
2024年4月 1日
先日所用で関東方面に出かけた。この日真新しい靴下をはいた。なぜなら、空港保安検査場を通過しなければならないからだ。くるぶしを覆う靴は安全検査上、脱いでスリッパに履き替え、金属探知ゲートをくぐることになっている。過去そんなルールができて初め
冬は転んではいけない
2024年3月 4日
札幌はまだ雪に閉ざされたまま。今冬の異常な高温の繰り返しによって、氷の路面はいつになく危険だった。 とある日、妹から連絡が入る。サ高住で暮らす高齢の父が、転倒して肩を骨折したとのこと。あれほど一人での外出は禁止と厳命していたのに。駆け付け
五人に一人
2024年2月 5日
私の勤める福祉事業所は、一般企業での雇用が難しい障害者に働く場を提供している。地域の企業からの依頼で、軽作業も時々入るが、主な仕事は縫製だ。 昨年十二月、七十を過ぎたA子さんが入ってきた。聴覚障害者で、発音は僅かに理解できる。 事業所に見
新年の記
2024年1月15日
元日から大きな震災や事故が相次ぎ、心の休まらない年明けでした。遭遇された方々、ご家族ご友人、関係者の方々には心からお見舞い申し上げます。 新年早々、仕事始めの4日に常連客が商品制作の依頼にやってきた。近所に住む女性で、いつも愛犬のトイプー