災害難民
2014年3月10日
帯広は二月十五日に降り出した雪が翌日には二十六センチの積雪になり、低気圧による強風が吹き溜まりをあちこちに作っていた。固形石鹸が少なくなってきたのでそれとコピー用紙も買わなくてはと車を走らせてホームセンターへ向かっていた。小道から稲田
楽しき極寒の日々
2014年2月10日
母上は不思議な方である。 真冬だというのに、セーター一枚姿でちょっと外へ出たりショッピングセンターへ買い物に行ったりしている。車で移動するとはいえ、外は氷点下十度も十五度もあるのだ。駐車場から歩いて店内へ向かっているその姿に周りで
光かがやく「十四代」
2014年1月20日
昨年暮れまで北海道新聞にまさきとしか氏のコラムが連載されている。 独善と哀しさとカヨワサとオサケの香りもする自由奔放な書きぶりは、楽しくて面白く、かつ肩を抱いて一緒に泣いてあげたほう
陽炎のなかの男たち
2013年12月 9日
初夏のある日曜日の午前。家に、釧路のハリマヤと札幌のカヤモリが共にやって来た。彼等は前夜、高校時の同窓会があってそれで来たのだ。二人とは、学校は違うが、長い付き合いになっている。 カヤモリは大学を目
美しき永遠の秩序
2013年11月11日
新聞社に勤める友人のヤマダ氏は東京に単身赴任中である。ぼくは上京すると、彼からありがたいことに居酒屋での飲食プラス社宅にて一宿一飯の恩義に預かったのです。そして彼の、 キヨクタダシク生きているさまに感嘆
過ぎし日々から
2013年10月15日
医者のイケダ先生は、静かな風情だが八十には見えないほど若くて役者的な存在感がある。バッハを聴き通し、ほとんど薄くなった短髪に眼光は意識がグッと表れ、相手の内奥を見ているような推理小説の探偵みたいにも見える。 人生に
作家 小檜山 博
2013年9月30日
早春のある夕暮れ時、帯広の街に春の雪が舞っていた。車を運転して駅前近くで信号待ちをしていると、帯広ワシントンホテル前から四、五人の男たちが現れて歩き出した。その中の一人がオーバーコートの
鯨人あらはる
2013年9月 9日
彼は眼光炯炯としてかつ穏やかな人物でもある。ヒヨワでイイカゲンなぼくのような者は、彼に会うと気持ち的にもどこか居住まいを正してしまう。会えば、「オオ、元気かよ」なんてケーハクな挨拶なんてしてられない。
夏に向かう
2013年8月19日
暑い陽射しの下、疲れているせいで歩くのが遅い。涼みたくもあって帯広駅地下の市民ギャラリーで開かれている「第八十八回平原社展」を観に入った。そしてそこである作品に釘付けになってしまった。 油彩F40号『繋ぐ』酒森夏海氏作。何度か行き
「みちや寿し」の親方
2013年7月 8日
小京都といわれている飛騨高山の春の夜。国分寺通りから横にちょっと入ると、木造の古い建物の寿司屋がある。「みちや寿し おきむら家」で、三代目の親方、沖村道也氏がやっている。脚本家小山高生氏に紹介された店で