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エッセイSP(スペシャル)

地縁・・

たかやまじゅん

2023年9月18日

 かつて勤めていた時には転勤で引越を繰り返し、住んだ処は短くて1年、最長は8年に及んだ。入社して東京での独身寮生活は、布団一式と身の周りのものだった。
 やがて家庭を持ち子供が出来ると所帯道具も増え始め、東京から帯広への引っ越しではコンテナとなる。こうして引越しを繰り返すたびに荷物が膨らんできた。
 これらの引越し先は、初めて訪れた土地ばかりで、仕事だけではなく生活の心配も少なくなかった。しかし〝住めば都〟の例えのように、先ず人との繋がりが縁となり、その土地が身近に感じてくる。まして仕事だけでなく趣味を通じたプライベートな出逢いは、心の拠り所となっていた。
 その一つが8年住んだ帯広であり、転勤で離れる際は、知り合った人たちが一堂に会して別れの宴を催してくれた。その〝ご縁〟こそが毎月ここで寄稿をしていることに繋がってくる。
 もう一ヵ所、今も思い入れの強いのが名古屋で、何故なら初めての単身赴任であり、不安は大きかった。それも先輩がクリスマスイブに招いてくれたり、単身者同士の飲み会が憂さ晴らしとなり解消されていった。
 この一人暮らしになれてくると、『大きな自由小さな不自由』と言われるように時間的な余裕も生まれてきた。まして歴史好きの私には、市内の史跡を辿ることが休日の楽しみとなる。かの織田信長と豊臣秀吉は名古屋出身であり、今週は〝どうする〟と放送が待ち遠しい徳川家康は名古屋城を造り、前田利家や加藤清正など名のある武将がこの地の出なのだ。さらに名古屋市近隣は業務で周った傍ら、戦国時代の事跡を垣間見ることも出来た。
 8年居た間に家族も来てくれた。その中でも、中学生になったばかりの息子が、初めて独りで飛行機に乗り、当時の札幌からは小牧が発着だった名古屋空港からバスに乗り継ぎ、名古屋駅の名鉄バスセンターに着く。バスを降りて私を認めると、満面の笑みを浮かべ小走りに手を振るその姿は、今も脳裏に焼き付いて離れない。
 こうして最後の勤務地旭川で退職して、札幌に終の棲家を設けた時には、コンテナ2台分が運ばれてきた。今も書棚には、それぞれ巡ってきた土地で入手した書籍や冊子が並んでいる。それらを目にするとその時々の出来事が走馬燈のように甦り、知己を得た人たちの顔が浮かび、私にとって地縁の深さを感じる瞬間となった。

◎プロフィール

このところ映画から足が遠のいた。その理由は画面のカット割りが多く、動作や台詞回しが速い。そして上映時間が長い。

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