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エッセイSP(スペシャル)

マジックアワー・・

たかやまじゅん

2023年6月19日

 この春、久々に帯広を訪れる。札幌駅を出発した特急とかちがトマム駅に近づくと、山の峰々にはまだ残雪があった。丁度、昼時に掛かり駅の売店で買ったカツサンドを開く。飛行機の場合もそうだが、弁当ではなくこれが私の乗り物での楽しみ方なのだ。こうして車窓は青空に映える高原を下って行った。
 帯広駅には友人が車で待っていて、再開の言葉もそこそこに数年ぶりで十勝の大地を奔る。やがて車が音更の急な坂を登ると陽が傾き始め、高台の〝十勝が丘展望台〟に着いた。眼下には悠々と流れる十勝川、目を転じると遥か彼方の日高山脈が茜色に染まり、山の稜線がくっきりと浮かび上がる。傍で「この景色を魅せたかった」と友の声がした。
 これこそ日没後の数分だけ、薄明かりの空を染める最も美しい〝マジックアワー〟であり、眼福の瞬間に遭遇する。
 そして翌日は車で中札内方面に向かった。途中、道の駅で大振りな地鶏のから揚げを味わう。さらに朝採りされた〝たまご自販機〟があり、新鮮な卵として人気が高く、早々に売切れるそうで人の列が出来ている。お土産にしようと卵のパックをゲットし、再び十勝の大地を往く。
 途中、民家の中に美味しいパン屋があり車を止めて胃袋に収め、車は朝の陽射しを浴び畑道に入ると周りに薄紫の霧がたちこめ、幻想的な模様を醸し出す。
 快晴の空なのに何だろうとスマホで検索すると投稿があり、これは畑の湿った土が太陽に温められ水蒸気となった〝地霧(じぎり)〟と分かり、車を降り暫し道端に佇んでしまう。
 続いて芽室嵐山スキー場の麓に辿り着く。降りて歩くと地面が絨毯のようにフワフワして、枯れ葉の隙間に黄色の福寿草が顔を覗かせ、写真を構える人も少なくなく十勝の春を告げていた。この日の昼は、名物のニジマス料理で口福の舌鼓を打つ。
 かつて十勝管内は、帯広に8年ほど居た時に巡っていた。その時その時の情景は、今も脳裏に焼き付いているのだが、今また新たな素晴らしい景色と食に出遭えた。京都天龍寺の塔頭宝厳院の田原義宜住職は「昨年見た花の見方と、今年見る花の見方は違う。故に今日と言う日を大切にする」と語られた。
 この帯広での3日間は、全て友人のマジックと言っても他ならず、心だけでなく身体にも確りと福が付いていた。

◎プロフィール

〈このごろ〉ラジオ放送後半の音作りをした。併せて頭の中では構成も考えている。当然12月は「良いお年を」、そして来年のテーマ・・

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