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エッセイSP(スペシャル)

水の恐ろしさ

梅津 邦博

2023年5月15日

 昔、水泳指導をやっていた。夏休み期間中に帯広市ヤングセンター等で主に小学生の夏季水泳教室に指導員として参加していた。その中で遠泳教室というのがあって、豊頃町海岸線の内側にある湧洞沼で開催される。
 太平洋側は砂浜だが急に深くなっていて遊泳には適さない。湧洞沼の水は濁ってはいるが水温は冷たいほどでもなく泳ぐにはそう問題はないとされている。子供たちは30名位だったかで、泳者1人に指導員が横で離れながら付き添うように並泳してゆく。そして泳者達から離れた所では本部船として大型のモーターボートがあり、二人くらい最高責任者クラスの指導員が乗っている。全国どこの遠泳大会でもモーターボートなどが監視船として廻っているはずではないか。徹底的に隈なく全体を厳しく監視しながらハンドマイクで指示を出している。何があろうと不測の事態など起こってはならない。水の世界において安全管理というものは絶対なのだ。
 まさか、子供の一人でも遠泳中に溺れかけるようなことがあったとしたらどうするのか。それは並泳している指導員が側に寄って立ち泳ぎしつつ相手を抱えながら激励の声をかけ続ける。それによってなんとか持ち応えることが出来るようであれば、その子供は続行とされる。たとえ小学生低学年の子供といっても、大の大人でも抱えながらして浮いてゆくというのは大変なことである。ましてや海と違って川や沼や湖は真水であり、浮くことが大変で楽な話ではない。従って溺れかけた泳者が無理であれば、船が来て、引き上げて休ませる。そういったような厳しさなど一般の人々にはわかりにくい事ではないか。
 何があっても絶対に事故があってはならない。鉄則なのである。

 令和4年4月23日。北海道知床沖で遊覧船沈没事故が起きた。
 26人の乗客は全員投げ出され、多くの方々が亡くなり、そしてまだ何名かが発見されず行方不明のままである。
 後に報道によって少しづつ解ってきたことは、天候については運営会社側の都合による判断が普通だとか、しかも外部と連絡を取るという絶対要件である無線通信設備は壊れているところもあるとされ、剰え事故発生時に必要な救命ボート類がないという。何よりも経営側も海事のことなどほとんど素人らしいとかで、私は仰天してしまった...。
 乗客を乗せてクルージングをするのではないのか、そんな無茶苦茶なことなど絶対にありえないはずなのだ。あまりにも驚くべき話で信じられない。水の恐ろしさを思うだけで震えてならない。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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