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エッセイSP(スペシャル)

夢の行方

冴木 あさみ

2023年4月 3日

 レオナルド・ディカプリオと渡辺謙が出演する『インセプション』という映画がある。無意識下、つまり夢の中を舞台としたSFで、他人の夢に入り込み任務を遂行するという奇想天外なストーリーだ。しかもその夢は三層の深さに分かれているという、複雑でスリリングな構成は、何度観ても何かしらの発見があり面白い。
 睡眠中誰もが夢を見ていることは確かなようだ。しかし覚えているかどうかは人によるらしい。朝目覚めたとき、私はほぼ毎日その日の夢を覚えている。皆がそうだとずっと思っていたが、結婚したとき、毎朝夢の話をする私に夫は驚き、逆に夢など見ないという夫に私は驚いた。
 夢の研究といえば真っ先に名前が出るのは『夢判断』を執筆したフロイトだろう。心理学の基礎を築いたオーストリアの精神科医である。無意識は意識よりも膨大な量の情報を蓄積しているという仮説を唱えた。睡眠中の夢は無意識下において自分の願望や自己表現を充足させるものであり、意味があると言っている。一方フロイトに共鳴した心理学者ユングは後に、あるがままの心の状態が映像化されたものと定義している。私の夢から言わせてもらうと、願望を充足させもし、現在の心理状態の映像化もしている。
 札幌市街地にヒグマが出没して大騒ぎになって以来、何度クマの夢を見て肝を冷やしたことか。振り返ってわが夢を検証すれば、単純極まりない。亡くした愛犬に会ったり、リゾート地でご馳走を前に歓喜したり、豪邸でトイレが見つからず「こんな屋敷には住めない」と文句を言ったり、時に知人を叱咤したり、列挙すれば何一つ高尚なものがないことに気づく。
 ちなみに、夢判断と夢占いは全く別物でであることは、言うまでもない。時間をかけて科学的に分析を行っていく夢判断に対して、占いとは当たるも八卦当たらぬも八卦の一つに過ぎない。
 夢とは何か。まだ解明されていないことが多いが、蓄積された情報の整理であるという仮説は定説になってきている。
 脳内にある無数の引き出し。あっちを開けて中のものを確認して、足元に散らばった情報をどの引き出しにしまおうか。こんな嫌な思い出は最下段に突っ込んで鍵をかけて...。睡眠中脳内で右往左往している自分を想像するとおかしくなる。
 俳優のインタビューで「様々な役を通していろんな人生を体験できるのが楽しい」という言葉を聞くことがある。私は毎日夢を舞台に無限の体験をしている。自分は至極単純で年甲斐もなくてよかった。

◎プロフィール

4月は何か新しいことが始まる予感。気持ち一つで様々なことが輝いて見える。

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