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エッセイSP(スペシャル)

乗る・・

たかやまじゅん

2023年1月30日

 これまで仕事や帰省、そして旅行で飛行機や新幹線を利用し50年近く経つのだが、ウイルスによる自粛で控えていた。それが昨年末、3年ぶりの上京で乗ることが出来た。
 座席に腰を埋めシートベルトを締め、新千歳空港からの1時間50分余は読書をしていることが多いのだが、なぜか文字が進まない。やはり久々の搭乗になったことが気持ちを高めたのか、子供のように興味が湧いてきて機内をキョロキョロしてしまう。やがて滑走路から上昇し始めると、初めて飛行機に乗った日のことが走馬燈のように甦ってくる。
 その頃は、「夢のジェット機・・」と歌にも唄われたJALのボーイング727であり、勤めていた東京から家内の実家がある札幌まで乗る。その頃は、空港ロビーから搭乗機までをバスで移動していた。そしてタラップを上がる時の気持ちは何とも言えず、誰の見送りなど居ないのになぜか送迎デッキを見渡していた。
 その後、ボーイング747のジャンボ機が導入されるともっぱらこの機種を選んだ。その理由のひとつが機内オーディオで、FM東京の看板番組だった城達也ナレーションの「ジェット・ストリーム」を聴けるからである。機体が上空に達するとおしぼりとキャンディー、朝の一便では軽食のサービスもあり、今では呼称も変わったが〝スチュワーデス〟の名で慕われていた客室乗務員の笑顔に、心を弾ませるのだった。
 飛行機は乗車でなく搭乗であり、これは人が船や航空機などに乗ることを表し、塔とは船に積み込むの意味に由来して、乗車は車輪で走行する乗り物に乗り込むことを指すと言われるそうだ。
 今回の上京は、墓参りのため東京駅から新幹線こだまにも乗った。ホームを後に車窓からの眺めが、大都会のビル群からアッと言う間に緑の山河に変わる。小田原までは40分程だが、いつしか初めて新幹線に乗った日が思い出された。
 入社した年の12月末、帰省する日の新幹線には浜松や名古屋に帰る同僚と一緒の座席に並んだものだった。だが、その二人ともすでにいない。小田原駅の新幹線口には、弟たちの顔があった。3人で揃うのは前の法要以来であるから10数年ぶりとなり、街並みもすっかり変わって昔日の面影はないのだが、小田原城の雄姿を目にすると懐かしさが込み上げる。
 こうして飛行機や新幹線に乗るとその速さの如く、瞬時に過ぎ去った日々が重なって見えた。

◎プロフィール

〈このごろ〉スマホの動きが鈍く通話も籠った声になってきた。思い切って新しい機種にしたのだが、仕様が変わり操作を覚えるまで一苦労する。

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