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エッセイSP(スペシャル)

薬味・・

たかやまじゅん

2022年2月21日

 蕎麦を手繰る際に欠かせないのがワサビとトウガラシで、素材を引き立てる脇役だが適度に刺激を与えてくれる。中でも東京〝やげん堀〟の七味唐辛子は、デパートの江戸老舗展が開催するのが待ち遠しかった。それは必ず薬味の調合師が来ているので、「山椒を効かせて」などと頼べば好みに合わせたブレンドがされ、私だけの薬味が出来た。
 さらに京都〝おちゃのこさいさい〟の柚子七味は、爽やかな香りの柚子が蕎麦に合い、加えて祇園〝原了郭(はらりょうかく)〟の黒七味は、しっとりとした辛味を添えてくれる。
 〝薬味〟とは文字の通り、植物から得られた香りや辛味で、薬としての効果があり、中国の歴史書「魏志倭人伝」には、当時の日本列島で山椒が栽培されていたとの記述があり、「古事記」でも記されていた。
 かつて定年後をアクティブに過ごすにあたり、晩年から活躍した人達が取り上げられ、「晩学のススメ」として話題になった。このような先人たちの生き方こそ、私たちに示唆を促してくれる薬味と言える。
 滝沢馬琴が28年の歳月で綴った「南総里見八犬伝」は、76歳の時に完結している。そして国宝で名を遺す雪舟の画が花開いたのも晩年だった。世界的に人気の高い画家グランマ・モーゼスおばあちゃんは77歳から絵を始めて、亡くなる100歳まで、ほのぼのとした作品を遺している。昨年、99歳で亡くなられた瀬戸内寂聴さんのエッセイを読むと、そのバイタリティに目を見張った。
 いま、〝綴る機会〟と〝喋る場〟を与えられた私には、こうした人の生き方が大きな糧となっている。身近には、ラジオ番組を続ける先輩、音源や資料が足りない時にフォローしてくれる仲間たち、それぞれ掛け替えのない存在である。
 世上、人と逢うのを控える中でラインやメールは長文となり、まして通話を始めると男の長電話。だがこの中での会話から多くのヒントを与えて貰った。
 このところ、毎月の連載や放送が終わると、「同じ思いです」とか「励みになった」など多くの感想が寄せられ、お互いのスパイスになっていると識り嬉しさを覚える。
 そしてここまで来たのだから、行けるところまで遣るしかないと新たな好奇心を駆り立てられるのだった。

◎プロフィール

〈このごろ〉かつて通った東京の映画館。1千席以上の大スクリーンに胸を躍らせた。新刊「巨大映画館の記憶」を読むとその頃の自分が浮かぶ。

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