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エッセイSP(スペシャル)

変わる場所

吉田 政勝

2021年11月29日

 時々、ふと思うときがある。引っ越しを何度かくり返し、転職も履歴書からはみだすほど多かった。
 それらの場所について、わが人生のある時期を感傷的に思いだした。最初に勤めたのが帯広の印刷会社だった。今でもその場所を車で横切ると、昔の会社の外観や同僚の顔が思い浮かぶ。
 3年後にデザインの夜学に通うために、札幌へ出た。働く会社を紹介されて、運よく採用になった。今でも札幌に出ると、その会社があった三吉神社の北側に足が向く。その少し西側の市場の裏に寮があった。
 1年後に知り合いの紹介で出版社に転職した。ススキノのにぎやかな場所にあるビルの4階だった。夜学を中退して、大通り東5丁目のアパートに引っ越した。
 そのころ、私の希望する職場は広告代理店だった。友だちと会って飯を食った相手がその業界に勤めていた。
「帯広支社で制作の人を求めているよ」と彼から聞いて、東京へ出る夢もあったが、ふる里に舞いもどった。
 その支社はかじのビルの4階で、アパートはHBC放送局の近くだった。会社とアパートの中間に書店があった。本好きな私は仕事帰りに書店に寄って給料日に買う本を予定していた。頻繁に店に寄るので万引きと疑われた。
 異業種に転業した時期、マンション暮らしで30歳すぎていた。『そろそろ身を固めないと』と思うようになった。親の自宅の横に増築して玄関は別で新生活を始めた。引っ越しはなくなったが、転職はつづいた。40歳すぎて独立して帯広に事務所を借りた。
 私の場合、転職と引っ越しは関連していた。職場が変わるのは不安だったが、外国に旅するような心配はなかった。なぜなら日本語の通じる場所へ移動するにすぎないと楽観視できた。また、新分野へ臨んで、いつも業務ノートを記して人知れず努力してきたと、ひそかに自負している。
 遍歴をふりかえると、「なんとかなる精神」で生きてきたような気がする。

◎プロフィール

商業デザイン、コピーライター、派遣業務などを遍歴。趣味は読書と映画鑑賞。

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