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エッセイSP(スペシャル)

結ぶ・・

たかやまじゅん

2021年9月20日

 子どもの頃、家に戻ると郵便受けを覗くのが楽しみだった。それは今も変わらない。
 誰かの便りや購読誌と会報など届くのが待ち遠しく、赤いバイクが家の前を通り過ぎてしまうとガッカリして、バイクの止まる音を耳にするとワクワク感を覚えた。
 手紙を出すとき貼るのが切手であり、距離や地域に関係なく全国どこにでも同じ料金で届く。家に届いた手紙の中に記念切手を見つけると切り取り、水に浸け剥れると乾かしていた。昭和30年代に切手ブームがあり、小学生だった私は早朝から近くの郵便局に並び、その列にいる大人から切手帳を見せられると羨ましくて、小遣いを貯めストックブックを持ったことを思い出す。
 ハガキや手紙を投函するのに欠かせないのがポスト。日本で郵便が始まった頃は木箱だったそうで、やがて改良を繰り返し今の角形に決まるのだが、やはり馴染深いのは赤い円筒形ポストになる。たいがい街角や商店の前にあって、親しみを込め〝〇〇さんちのポスト〟と呼んでいた。懸賞の応募ハガキを入れた時は、ポストに手を合わせたものだ。山の中や海岸など何処にでもある赤い佇まいは、そこに住む人を結んでいる証と言える。
 昨年来のウイルスによる自粛で、友人と昼食やお茶をしながらの本やCDの受け渡しも控えた。そのため市内でありながら、郵送での遣り取りになった。幸いポストは家から直ぐの所にあるが、道一つ隔てた郵便局を主に利用して、窓口に3、4日行かないと「暫くですね」と言われ、夏はエアコンで涼み、冬に暖かさで温まり、空いていると世間話を交わしてきた。
 ある時、出した郵便物が所定の日数を過ぎても相手に届かず、調べて貰うと私が郵便番号を間違えて書いたことで、郵便番号の大切さを改めて教えられた。
 全国を均一料金で結ぶ郵便制度は、1円切手に描かれた「郵便の父」と呼ばれる前島密(ひそか)が、明治4年(1971)に東京と大阪の間から始めて、今年で150年を迎えたそうな。最近は郵便だけでなく、DMや荷物の配達方法も多岐に亘り、メールやラインで事が足りる時代となったが、やはりは赤いバイクで届く郵便には、格別の思いを持っている。
 ところで、この人と人を結んで来た郵便の配達も、10月から通常配達が土曜日は休みとなってしまい、月曜日が〝何か来たかな?〟と愉しみになった。

◎プロフィール

〈このごろ〉秋の旅が始まる。同い年の正平ちゃんが〝人生、下り坂最高!〟と自転車を漕ぐ。平日の朝晩は、彼の風景が私の食事時間なのだ。

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