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エッセイSP(スペシャル)

恩返しを逸して

吉田 政勝

2021年8月30日

 「友情とは、小さな親切をしてやり、お返しに大きな親切を受け取ろうとして結ぶ契約である」
 モンテスキュー(フランスの18世紀前半の哲学者)は、友情を冷めた視点でとらえている。確かに誰もが見返りを求めて、親切にしている場合が多い。人間関係はギブ&テイクと思う。お返しで気をつかうのなら、出来るだけ人の世話にならないことを自覚するが、自力で生きることは容易ではない。
 私は世話になりながらお返しどころか、迂闊なために相手にひどい思いをさせた。その経験は愚か者を少しは賢くさせるが、今も苛む気持ちを抱きつづけている。
 話しは古くなるが、私が社会に出て働き始めた時、母の知り合いの女性の勧誘で私がF生命保険に入った。その事が、A生命保険の営業をしていた伯父の耳に入り、伯父は不機嫌だったらしい。不機嫌にはわけがあった。なぜならば、その伯父に私は何度かお世話になっていた。
 私が2~3歳のころ、農家の伯父の家に預かってもらった。妹が産まれた後で、あるいは私の母が仕事に出るためか、幼い子を2人世話をする苦労を軽減するためだったのか。幼児ながら、母親から離されることに気づいた私は泣いてぐずったようだ。しかし、伯父の家で伯母やその年上の子たちに可愛がってもらい、なついていた。
 また、社会人として最初の会社に勤めることができたのは、伯父の顔の広さから、その会社と取引している伯父と縁ある業者が紹介してくれて就職している。
 私は、母に「伯父が生命保険の仕事をしていることをなぜ言ってくれなかった」と泣きそうな声で言った。(伯父の保険に入って少しでも恩返しがしたかった)と悔やんだ。
 伯父は私の結婚祝賀会に顔を出してくれた。法事で会っても気さくに会話を交わしてくれた。伯父が亡くなった時、長い間胸にあった思いが脳裏をよぎった。

◎プロフィール

(よしだまさかつ)
 商業デザイン、コピーライター、派遣業務などを遍歴。趣味は読書と映画鑑賞。 

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