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エッセイSP(スペシャル)

キーボード・・

たかやまじゅん

2021年1月25日

 パソコンが壊れ修理に出したことから、原稿やラジオの構成表は手書きを余儀なくされた。ところが、いざ始めてみると、漢字はこれで良かったのか、送り仮名がはて、どうだったなどと迷うことに・・。さらに困ったことには、書く字数がはみ出してしまう。おまけに、書いた文字を読み返すと判読し難いのだ。
 こんな筈では無いと数十年前に書き溜めたノートを眺めてみる。そこにびっしりと書かれた文字は整っていて見易く、果たして自分が書いたものだったかと首を傾げる。勤めていた頃、書類は誰が見ても分かるように書くことを教えられ、立案し承認を受ける申請書などは、尚更厳しく指摘を受けた。
 かつて、ものを書くときは国語辞典に漢和辞典、そして英和辞典などを欠かさず手元に置き、書いては消し、消しては書くことが日常茶飯事だった。書き直しで、徹夜した日々を思い出す。こうして文字を覚え、言葉の意味を識ったと言っても過言ではない。人より早く事典を引くことが自慢であり、今は使わない辞書のそこかしこに捲った跡が確り遺っている。
 やがてワープロが出たとき、新しいもの好きの私はいち早く使い、パソコンに変わると教室にも通った。字句の入れ替えはもとより、検索が即座に可能で文章をまとめることが一段と便利になる。今では、簡単なメモでさえ自分で書かなくなってしまった。
 最近は文字を検索したものの、後日また同じことを繰り返し探している。もしや記憶が曖昧・・と不安が過り、同世代にこの話をすると「同じだ」と言われ、妙に安心感を覚えるのだった。つまり書いて覚えていたことが、パソコンに頼り過ぎて覚えていないのである。
 昨今、郵便物などの宛名は印字されたものが少なくない。私は、年賀状だけはせめて手書きにしようとこだわってきた。だが間違ってしまうことは否めず、修正するのに消しゴムやナイフでこすると跡が残り、新たに書き直していた。
 この失敗したハガキは、後に郵便局で手数料を払い通常ハガキや切手に交換して貰えるのだが、それは一枚や二枚で終わらないのだ。こんな折りに、書いても消せるペンを見つけたお陰で、書き損じをしないで済むようになる。
 暫くして、修理されたパソコンが戻ってくると、何事も無かったようにキーボードを叩いている私であった。

◎プロフィール

〈このごろ〉今年のFMラジオ番組のテーマは、月替わりでお酒、雪まつり、お城などの話を、ストックしていた楽曲でつなげる「蔵出し音楽紀行」。

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