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エッセイSP(スペシャル)

秋色・・

たかやまじゅん

2020年10月19日

 季節が移ろい暑さで休んでいた散歩を再開する。初秋の昼下がり、サイクリングロードを兼ねた遊歩道を往くと、前方からシャーっと音が聞こえ、アッと言う間に自転車と擦れ違う。後ろでヒタヒタと軽やかな足音がした瞬間、マラソン人に追い越された。春に初めて歩いた頃は、長い桜並木に思えたのが、今では道のりをさほど感じさせなくなっていた。
 爽やかな風の中を、ススキを手にした家族連れや散歩する人も少なくない。行き交う人は色とりどりのマスクが目立ち、販売する店を探し回ったあのマスク騒動は何だったのだろう。外でするマスクはとても息苦しくなり、夏には蒸し暑さに襲われ、顔中が汗みどろだった。真夏日の夜、保冷剤をタオルで包み額や首に巻いていたことも、過ぎ去ってみると妙に懐かしさを覚えてくる。
 歩きながら周囲を見渡すと歩道の脇にある古い民家の庭先では、赤い実をつけたナナカマドが青空に映え、絶妙のコントラストを描く。道端にはピンク色のコスモスが秋のメロディを奏でるように風と戯れ、道の両側に立ち並ぶ高層住宅の塀から〝真紅のバラ〟が一本だけこちらを向き、まるで私に囁きかけているような錯覚に陥った。
 やがて遊歩道で見る樹木の葉は、日ごと黄緑から黄色に染まり、ところどころで赤みが増して、往来するたび深い色合いを魅せてくれる。たいがい紅葉狩りは、京都の嵐山や東京の上野山を訪ねたが、ウイルスによる制約を余儀なくされ、さらに天候の変化も著しく、今秋は身近で愛でることに決めた。
 そして数日後、再び来てみると道の脇に連なる樹々は、陽射しの中で彩りを醸し出し、枝の間からチュチュチュと鳥のさえずりを耳にした。この木陰で犬を遊ばせている婦人に、道の向こうから犬を連れた若い女性が近づくと、二匹の犬はキャンキャンキャンとまるで再会を喜ぶかようにジャレ合い、それを歩道の脇に置かれた木製のベンチに腰掛けた老夫婦が、寄り添いながら眺めている。
 その光と影の中でシンクロするひとときはえも言わず、さながら秋色の中で織り成す印象派のフレームに思えてきた。

◎プロフィール

〈このごろ〉8ヵ月後には30巻揃う週刊「ニッポンの浮世絵」が出て、やはり定期購読を予約する。こうして私の断捨離は遠退くのだった。

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