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エッセイSP(スペシャル)

いとしき想い

梅津 邦博

2020年8月17日

 国会中継の質疑応答を観ていると、首相も大臣も質問者の問い掛けに応えているようでいて、実はちゃんと答えていないのだ。いってみればいびつな在り方であり、それはカネと権力を守ろうとしているように思えてならない。そして答弁振りからして政治家諸氏は一流大学を出ている者が多いのに、ずる賢い知性にあふれてならないとしか感じられない。先だって作家高橋源一郎が他の作家と某新聞紙上で対談した。その中で自民党の誰かは知らないが某議員と話をしたことがあって、いくつか質問をしたのにそれらに答えていず、自分の考えを述べていることに辟易したとある。つまり会話が成立していないということをいっていた。政治家は有権者によって成り立っているのだが中身はまるで別人であるようなところに不快感が感じられてならない。
 さる夫婦に親の遺産が入ったらしい。何億だとかそんなことは知らないしどうでもいい話だが、とにかく一瞬にして大金持ちになったのかも知れない。余裕があるらしく都心のマンションを買った。レストランなどで食事をし、デパートで買い物をし、銘菓店へ行っては菓子折りを買う。また、誰かのお祝いがあれば花や銘菓を贈る。ま、そういったことはメーカーの戦略でもあるのだが、いってみれば利用者側は単なる習性であり、特別な思いや意味というほどの価値などどれほどのことがあるのだろうか。贈られた側はそれほどにありがたみを感じていないこともあるのではないか。つまり人間社会の欲から現れた不毛ライフスタイルのありようでしかない。本当のことをいえば、相手を思う心があるのならもっと大事なことがあるのだ。
 おカネや権力の世界で生きてゆく人間は大変ではないのか。おカネはそれなりにあった方がいい。なければ生活するにしても大変なのだ。自分は入院したり仕事が落ち込んだりした時などは何もあったものではないし、また裕福な生活を送っているわけでもない。しかし気持ちのどこかには、目立たない小さなきれいな川が流れていたり晴れた青空が見えていたりしているところがある。そんなところからはどこか潤いもあるのだった。大空は銀青色に耀いていた。あふれる光やゆるやかな風が心地に伝わってくる。陽射しが地上に満ちていてふっとどこかへ旅にでも出掛けたい気がする。そうは思っても実際には家にいるか街へと出かけるくらいだろうけれど。住宅街を街中を散策する。軀の内側に満ち満ちてゆくものがある。なんとしなやかにして贅沢な世界であることか。
 自分にもいろんな問題はあるけれど、しかし権力とかおカネとかのような世界には生きていない。ま、しあわせなのかな。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。岡書イーストモール店で発売中。

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