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エッセイSP(スペシャル)

六花亭のスタッフたち

梅津 邦博

2020年7月13日

 仕事で顧客にお会いするため、御土産を用意する時は行き付けの六花亭へ行くことが多い。菓子折りを買ってお渡しするということは、実はそんな単純なことではなくさまざまなありようがある。
 そのショッピングセンターへ食料品を買いに行く時は必ず六花亭の前を通ってゆくわけで、そのときに5、6㍍だか離れているけれどチラッと振り向くことがある。するとたいがい女性スタッフの誰かと眼が合って頷くように挨拶されるので、自分も釣られて頷いてしまう。そうなるとあとで寄ってみようかな、母上にケーキの二つ三つくらい買ってあげようか、なんて思ってしまう。
 Sさんは、全体を見通しながらてきぱきと仕事をしている姿に、わたしは何があっても仕事はちゃんとやり遂げますという芯が感じられる。そして「定年まで働きます」ときっぱりといった。筋が通って明るくソフトに包み込むようなところがあり、客の側からすれば安定感もあって気分もいい。
 異動されたSさんの後を継いだYさんは、静かな微笑みを見せていながらも常に何かを考えて思ってもいるふうで、なんだか詩人みたいにも見えるような気がするのだが。ともかくどこか気分を柔らかくしてくれてそして素朴さを感じさせてくれるような心地があるのだった。
 また少し小柄なMさんは、視線が合うとキラキラとしたような表情で挨拶される。今度見かけたらタッ、タッ、タッ、と駆け寄って来るんではないかという気がするほどで、それは少女が初夏の陽射しの下で何かを求めて走ってくるというような感じにも見えてしまう。弾けるような感もあってとてもいい。
 買い物に行くということは、店に、商品に、人に、助けられていることでもある。皆、天下の銘菓店スタッフとしての責任感と礼儀作法と距離の取り方など、凛としたものがあるのだった。そしてその店をどういうありようを見せながら提供してゆくのかということもあるだろう。
 彼女たちは仕事をしているという矜持があってその精神性からくる存在感がある。目まぐるしく客に対応しつづけながら、店の前の行き来している客にも見遣っていて、眼が合うとスッと頷くように挨拶されるのだ。まさしく知性から立ち上がってくる眼力でもあるのではないか。いい仕事をしているのだなと思う。 ぼくはそんな世界に乗って銘菓を注文し、お客様の所へ持って行くことになる。そうしてそれを戴いて下さっているお客様の情景が浮かんでくることで、ぼくにとってひとつのお遣い物としてのありようが完結するのである。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。岡書イーストモール店で発売中。

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