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エッセイSP(スペシャル)

歌い手「ASUMI」

梅津 邦博

2019年12月 9日

 12月になり、街はクリスマスムードに包まれている。音楽や料理や贈り物などと愉しみがあるだろう。どこかからクリスマスソングが聞こえてくる。
 かつてニッカウィスキーのCMでナレーターが「私はおいしいウィスキーを知っている」と言った。そのシーンは、オペラ歌手キャスリーン・バトルが夕暮れの丘だかに立ち、外界に向かって「ヘンデル作曲『オンブラ・マイ・フ』」のアリアを歌っていた。圧倒的に伝わってくる迫力があり、大きく息を吸って吐いた。これほどまでに感動させるものはいったい何んなのか。彼女は曲と眼の前の渓谷と自らの人生を生きてきたことを、つまり世界を自分のものにして歌っているからではないのか。それはいまなお聴いていて色褪せることがない。
 家を建てる時、最初から材料を使って建てるわけではなく、設計図(青写真)というものを作ってから取りかかるのである。つまり物事にははじまりがあり、天地創造あそばされた神様は、思い描いた世界を意によって発生させたそれは最初の霊的なものとして創られてゆく。人の内側に霊体があるとされているのはそういうわけである。それと同じで、言葉も音も色も霊的なものから現象化して出来てゆくことであって、言霊、音霊、色霊が存在しているのである。霊的なものは見えないけれども、内包されているのだった。「あなたいい人だ」と言ったら「ア・ナ・タ・イ・イ・ヒ・ト・ダ」とその霊的波動(言霊)がぶるぶるぶるぶると伝わって、相手はいい気分になる。その反対のことを言ったら、相手は波動によって不愉快になってしまう。
 そこで声を使って歌を表現するとは生きてゆくことである。歌うとは節をつけてするわけで芸としては原初的からのありようかと思うが、大昔より人は歌うことで何かを伝えてきただろう。そしていま現実に歌うことは歌詞と曲とのそれぞれの内容を読み取って表現してゆくことではないか。従ってことばをはっきりとさせることが大切でかつ力強く歌ってゆくことで、歌い手はその世界を見せてゆくのではないかと思う。
 近年地元のさまざまな音楽シーンにおいて、歌い手「ASUMI」氏の歌を幾度となく聴くことがある。ジャズを中心としていろんな曲を歌っているが、彼女は歌作品を自分なりに捉えて思いを持って歌っているのだろう。身体の動き方など振り付けも合っているようで、顔の表情も良く、ムードがあって花がある。それは前に進んでゆく力強さと夢を見せてくれるような歌い方に感じられ、とても魅力的で充足感を覚えてしまう。自らの立ち位置を含めて自分のものにして歌っているところがあるという知性が伝わって堪能させてくれるのだった。音楽ファンにとっても彼女の歌う姿は楽しみとなってゆくことだろう。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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