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エッセイSP(スペシャル)

寂しき日々

梅津 邦博

2019年11月11日

 昨秋、大手病院で入院手術をして18日間過ごした。病室も食事も素っ気ない。4人部屋で仕切りは白無地ぺラペラのカーテンでプライバシーガードなのだが、閉めると暗くて陰気でしょうがない。寝具も軽い掛け蒲団だけでは寒いので、家から持参したタオルケットを中に入れて使用していた。10月なのにあまりの寒さに震えが来て、どうやら暖房が入っていないことがわかって肚が立ったが、同室の患者が怒って事務室に伝えたことで暖かくなってきた。
 ICUそして病棟でとベッドでおとなしくしているつもりだが、ちょっとでも動くと患部などに相当な痛みが起こる。そうはいってもすることがあり、ペン、メモ、携帯、水銀電池、など何度も下に落としてしまう。そのたびにブザーを鳴らして看護師に来てもらった。申し訳なかった。そして大量の飲み薬のせいなのか口中に苦みがあって不快感が続いていた。
 洗面台も慣れている家のとは違って使い勝手は良くない。不満を言ってはならないが、めんどくさくて髪はバサバサで髭も濃くなってゆく。洗面桶を持って行って、顔を洗い、歯磨きして口中消毒液でうがいすると少しは気分爽快になる。次々と患者がやって来る。「おはようございます」と挨拶をすると、嬉しそうに「おたくも手術したんですか」と言葉をかけられ、大きなお世話なのだ。

 看護師が入れ替わりやって来ては甲斐甲斐しくお世話をしてくれることに感謝している。彼、彼女たちは仕事でもありプロでもあるのだ。いずれ退院したら担当患者のことなど関係なくなるだろう。また、病状経過などについて医師や看護師に出会うと少しお聞きしたいと思い、伺ってもにべもない人がいて閉口する。なさけないが心のケアというものは大事ではないか。けっきょく病院というところは彼等にとっては仕事場であるが、ちゃんと対応してくれるかどうかはそれぞれの人間性による。
 「患者さんはみんな同じなんですよ」と言われなくたって解ってますよ。なかには親身に接してくれる看護師だっている。
 「あの、看護師という仕事はとても大変な仕事ですね。どうですか?」
 すると少し浮かない顔をして、怖ろしいことを言った。
 「早死にする人が多い...」
 「え! そうなの...」
 あまり語らなかったが、寂しかったな。振り向くと窓の外は曇り空だった。

 病院に入院手術をするとは、あくまでも治療の為であってスタッフも設備もそれに応じたものになっている。あれこれ思ってもしょうがない。やがて退院した。元気にならせていただいてとにかく感謝でいっぱいなのだ。
 月日を追うごとに、沈んで寂しくたまらなかった日々のことが妙になつかしい。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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