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エッセイSP(スペシャル)

霧の中の風景

吉田 政勝

2019年6月24日

 余暇ができるとDVDのレンタル店に寄ることがある。棚の「霧の中の風景」という題名に目がとまった。20年ほど前に、新聞で紹介されていた映画の記憶が不意によみがえった。むずかしい寓話だが、やはり名作だった。

 母子家庭の母は、生活のために働き通しなのか、子どもが寝てから帰宅していた。父不在のさみしさからか、姉ヴラと弟はドイツに住むという父に会うのが夢になった。
 ある日、その父に会うために姉弟は列車に乗った。だが、無賃乗車だったので、車掌に発見され途中駅で下車させられた。連絡をうけた伯父が迎えにきた。彼は「ドイツに父親なんか、いやしない。私生児だ。おまえたちの母親は夢を与えたかったのだろ」と言う。ヴラは「うそよ、うそよ。お父さんはドイツにいる」と反発した。
 ヴラは弟の手をとり待合い室から逃げ出す。歩いていると、小型バスの運転手が「街まで乗ってけ」と声をかけてきた。その男は旅劇団の一員でオレステと名乗った。兄貴分のような男に親切にされ、彼の愛用のバイクに乗せてもらい姉弟は街や浜辺を走った。やがて、劇団は別の街へと移動するため姉弟はオレステと別れた。
 寒い山道を歩いていると、1台のトラックが停まる。男は姉弟を乗せる。ドライブインで男は三人分の食事を頼んだ。トラックに戻ると、弟はすぐに眠った。男はヴラを野卑な目で見る。彼女は車から降りて逃げ出すが、男に捕まってトラックの荷台に連れ込まれた。荷台は幕が張ってあるので内部が見えない。しばらくして男は荷台から出てきた。シャツがズボンからはみだしている。ヴラの手には血が…。
 その後、姉弟はオレステと再会する。ふたりにとっては救いの神だ。その夜、飲食で入った店でオレステの姿が見えないのでヴラは探す。すると男性と会っているのを目撃した。同性愛者と知った彼女は去ってゆく。めばえた初恋を失った。
 姉弟は翌日も歩きつづけた。オレステはバイクで追いつき、声をかけるが、ヴラは視線をそらした。「こんな風に別れたくなかった」と嘆いたオレステはヴラに近寄り抱きよせた。彼女は彼の胸に顔をうずめて泣いた。そして、霧の中を歩きだした。オレステは見送りながら力なく手を振っていた。

◎プロフィール

忙しく仕事に追われていた頃は、映画館へ行く暇もなかった。今は映画がDVDとしていつでも室内で見られる。映画から学ぶことは多い。

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