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エッセイSP(スペシャル)

衝動・・

たかやまじゅん

2018年11月19日

 四季折々の京都を美しい映像で醸し出し、サウンド・オブ・ミュージックのナンバー「私のお気に入り」を様々なバリエーションが奏でるJR東海「そうだ京都、行こう」のキャンペーンCMは、長塚京三さんのナレーションで定評があり、30秒の映像で訪れるファンも少なくなく、今年で25年目を迎えるそうな。
 1200年育まれ悠久の浪漫溢れる古都は、歴史と文化の好きな私にとっても憧れの地であり、足しげく京都へ行く理由のひとつは、このCMに促されたと言っても過言ではない。
 例えば、新幹線が停車する京都駅八条口一帯は、かつて平家一門の屋敷が建ち並び、平敦盛など公達(きんだち)が雅な姿で歩いていたところだ。そして四条大橋の掛かる河原で、出雲阿国(いずものおくに)が踊ったことから歌舞伎発祥の碑が建ち、先ごろ新装された南座付近は、江戸時代に北座を始め7つもの芝居小屋が競う繁華街であった。
 徳川家康が征夷大将軍の辞令を受け、15代将軍慶喜が辞表を出したのは現在の二条城だが、室町時代の足利尊氏から義満の居城のほか、織田信長や豊臣秀吉によって作られた二条城(館、御所とも)跡も遺る。またロームシアターの名で知られる京都会館と多くの美術館がある芸術文化エリアの岡崎公園は、平安時代に6つの大寺があり、その名は町名として今に至った。明治時代になると内国勧業博覧会が催され、そこが今の平安神宮なのだ。
 先ごろ、20年前に出版された東山魁夷の画集「京洛(けいらく)四季」を見つけた。そこには自分が眼にした京都の山波や町屋が描かれてあり、この画集に「古都」「たまゆら」などの名作で京都を綴った文章を載せた「今、ふたたびの京都―東山魁夷を訪ね、川端康成に触れる旅―」も読んだことから、何十年ぶりかで川端作品を書棚から出してきた。
 こうして著名な作家と画家が紡ぐ風景を興じてみたい衝動に駆られ、秋の京都に足を運び、たいがい締め括りは「わしょく宝来」のカウンターで、技と粋に舌鼓を打つのが、わたしの密かな愉しみとなっている。
 京都生れの人にこのことを告げると暫く戻ってないそうで、彼の「そうだ京都、帰ろう」の言葉を耳にした途端、思わず「そうだ京都、住みたい」と発してしまうのだった。

◎プロフィール

〈このごろ〉劇団四季の「サウンド・オブ・ミュージック」を観る。かつて見た映画を彷彿とさせ、いつしか物語と音楽に溶け込んでいた。

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