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エッセイSP(スペシャル)

適材適所

冴木 あさみ

2018年11月 5日

 札幌市では中高年齢者に向けた求人情報の提供や就労に向けての企業説明会、カウンセリング、就労スキルアップなどの支援などを行っている。高齢者増加と人材不足が加速する中で、札幌に限らず各自治体は就労支援の強化に取り組んでいるはずだ。
 この広い世界で運命の人と巡り合えないのと似ている。どこにどんな仕事が存在し、どんな人が求められているのか、多くの人は把握できない。手繰り寄せた糸の先に自分にぴったりの仕事が結ばれているというシステムを、AIでチョイと実現できないものなのか。
 求職者同様企業側も適材の人物を探している。人手不足に悩む企業は日本人を諦め、外国人に目を向け始めている。「勤勉な」「実直な」は日本人の枕詞だったが、現在はベトナム人もマレーシア人も真面目で勤勉と評価が高いらしい。更に家族や老人を大事にする文化により「優しい」という形容詞が追加されている。言葉の問題はあるが、彼らの活躍できる職種は少なくはないだろう。過去のプライドを捨てきれない面倒臭い日本の高齢者より、よっぽど有難いと公言する経営者もいる。
 私の勤める小さな事業所は、必要最低限の人員配置で稼働している。福祉事業所なので内容的に事が足りていても、規則として利用者数に応じた職員数を確保しなければならない。これまで全員元気で続けてきたが、なにぶん平均年齢が高い。いつ何時、退職や長期休職を余儀なくされてもおかしくない。不測の事態に備え最近一人の増員に踏み切った。
 縫製全般を行っている障害者福祉事業所の支援員。できれば工業用ミシンの使える人。週三日程度のパート職員から始めて、その後希望があれば正職員に契約変更可能。運転業務有り。
 なかなか応募がなく忘れかけていた頃、一本の電話が入った。五十九歳女性でペーパードライバーとのこと。業務上運転は不可欠と告げたが「どうか見学だけでも」と、翌日やってきた。
 縫製の資格保持が強みで、会ってさえくれれば採用の可能性があるとの自信があったらしい。電話では十歳も若く年齢詐称をしたということだから。しかし製品を手に取り首を垂れ、ため息を漏らした。
「縫製が上手。完成度が高い。ここまでできるんだ」
「障害者が作る物」に様々な先入観を持たれてもしょうがない。障害者のイメージは実に低い。しかし、例えばろうあ者であっても、身体や知的、精神に障害を抱えていたとしても、縫製業務に関して不自由が無ければ、その障害者は健常者としてそこに存在している。
 適材適所。
いい言葉だなあ。年齢に関係なく自分が咲ける場所で仕事ができたらどんなに幸せなことだろう。

◎プロフィール

寒い朝はうどんで温まる。最近の好みは平うどん。一口目、必ず妖怪「いったんもめん」が頭に浮かぶ。

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