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エッセイSP(スペシャル)

SINKA・・

たかやまじゅん

2018年7月16日

 長らく映画音楽を始め、多彩な楽曲のレコードとCDを蒐めてきた。折にふれ、ひとつの曲を幾通りものバリエーションで聴くことに興じている。
 昭和生まれなら、懐かしい思いがする「ヒャラーリ~ヒャラリコ」の笛吹童子主題歌をラジオや映画とテレビ、そして人形劇の順で聴いてみる。それぞれ作品の作られた年代でアレンジは違っているが、哀愁のある日本人好みのメロディは失われていない。
 作曲は尺八の名手と謳われた福田蘭堂。先ごろ、札幌で開かれたブリヂストン美術館展で展示され話題となった「海の幸」を描く洋画家青木繁の長男にあたり、この蘭堂の子どもが、クレージーキャッツのピアニスト石橋エータローなのは知る人ぞ知る。
 富山県の五箇山に伝わり「窓の~さんさも~デデレコデン」と合の手が入る筑子(こきりこ)節は、日本でもっとも古い民謡とされた。数年前、五箇山を訪ねた際、この旋律に惹かれCDを買い求めた。これが切っ掛けとなり、様々な演奏や歌い方のこきりこ節を集めてしまう。
 その後、私が出ているFM番組の放送で「こきりこ節」をテーマに特集してみる。地元保存会の人たちが唄う曲、民謡歌手のライブやシャンソン風などの歌、まとめとして音楽隊のブラス調にすると、音楽が少しずつ進化していることに気付いた。
 昭和42年に舟木一夫さん主演の映画で、襟裳岬の百人浜を舞台にした「その人は昔」は、前年に作られたレコードアルバムの映画化である。原作の松山善三作詞、船村徹作曲によるテーマ曲は、舟木さんがステージでも度々唄われる代表曲のひとつだ。この曲が、今の舟木さんの声で新たに録音したCDが発売された。
 封を切るのもそこそこに、コンポを作動させる。ここで、今まで市販されていたアルバムとコンサート盤に収録の「その人は昔」を、連続して聴いてみようと思い立った。この歌を初めて聴いてから半世紀余り、その時その時の声で耳にする楽曲が、壮大なスケールの物語として私の心の中に拡がってきた。
 歌は最初が詞で、次が曲と言われる。それを新化させるのは、歌い手のキャリアと言っても過言ではない。そして自分が歳月を重ねたことも、ひとつの歌に対して受け止め方が深化していたのだと、改めて感じることが出来た。

◎プロフィール

〈このごろ〉今年は豪雨と地震が続く。真っ先に気になるのは友人知人のこと。そして、かつて自分が住んだ所や訪れた土地に思いを馳せる。

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