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エッセイSP(スペシャル)

やがて早春がくる

梅津 邦博

2017年11月13日

 あんなに暑かった夏は疾うに南の方へ去ってしまっていた。今頃はどのあたりにいるのだろうか。その中心は沖縄のさらに南にあるのではないか。会いに行きたいけれど、そうはいかないだろう。これからは秋、そして冬へと向かって深く過ごしてゆく日々を送らなくてはならない。
 秋の空は、青い絵の具で塗ったような色合いで、金色の陽の光が地上に降りそそいでいる。帯広としては15度くらいだがそれなりに暖かい方だろう。しかし午後も3時あたりを過ぎると段々と寒さを増してゆく。
 晩秋から初冬あたりで、天気が良い時は帯広という田園都市の街中において、自然界の壮大な美しさに接することが出来るのだった。その夕暮れのあまりな空模様の美しさに気が遠くなりかけるような心地になってしまう。雲もない大空は夕暮れ時へと濃紺に染まりながら九天の詩情あふれる世界が広がり、西方の赤々とした空の下にある日高山脈の山並みは、漆黒に変化してくっきりと現れる稜線が遙かなる時の流れのようにも視え、真っ赤な夕陽がその後ろへと沈み去ってゆくのだ。そんな世界のありように激しく揺さ振られてならない。帯広に住んでいることに満ち足りた心地がしてゆく。
 10月を過ぎようとしていた。朝夕すでに寒くなってきている。日中は天気が良ければ少しは暖かさも感じている。
 冬へと進みゆくに従って冷気が皮膚に触れて皮下1センチくらいまで染み入るような感じに身構えてしまうのは、生体反応上における防衛だ。11月になると冬直前ゆえに相当な寒さへと進んでゆく。じっとしていられないことが多くなるが、12月に入っていつしかそんな寒さにも慣れてきてしまう。そうして心身と共に極寒の季節を迎えてゆくことになるのだった。
 凍て付く気温、雪、氷、雪原、陽の光が雪氷を跳ね返して水銀みたいに耀くさま、歌うような吼えるような強風など、見ようによっては接しかたによっては、激しくそして怖ろしいくらいの厳しくも美しい冬なのだ。そんな生命力の強い冬があることによって、春、夏、秋がいっそう引き立ってゆくということになってゆく。
 年が明けていつしか時とともに、冬も静かに薄れてゆく。季節の境目は分かるはずもないが、交代がはじまってゆく。
 あと、4カ月もすれば早春がやって来る。今から楽しみにしている。顎の辺りで「待ち遠しいな」と思っている。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。
北海道新聞朝刊コラム「朝の食卓」執筆同人。

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