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エッセイSP(スペシャル)

女生徒の笑い

吉田 政勝

2017年7月31日

 商業施設の駐車場に車を停めて、私は多目的ホールに通じる扉に向かっていた。直前を3人の女子校生が歩いているのが分かった。彼女らは1階のスーパーで自分以外の飲料水も買って、ホール前の休憩スペースで待つ友だちに渡すのだと想像できた。
 その1人がドアが閉じるのを手で押さえて私の通るのを待っていた。「両手がふさがっているのに親切だね。人に対する心づかいが素晴らしい。将来出世するタイプだね」と私がほめると、振り向いた女子校生たちは、明るい声で一斉に笑いだした。なんとも気持ちが和んだ場面だった。
 買い物を手にして車に戻る私の脳裏に、先刻の女子校生たちの笑顔が浮かんできた。彼女らに冗談気味にお礼を伝えたが、セリフが間違っていないか、と思い直した。(その親切は異性にも通じるよ。彼がいっぱいできる……。いや、それでは不実で浮気者と評判を落としかねないな~)そう言えば、また彼女らに大笑いされかねない、と苦笑して車に乗り込んだ。
 私はおっさんだから、思春期の乙女心などに疎いが、日常の嫌なことを忘れるために、笑い飛ばしているのではと思う。箸が転んでもおかしい年頃といわれ、ちょっとしたことでもよく笑う。実は私も笑うのが好きだ。
 2年前の夏、白樺通りを車の窓を開けて走っていた。交差点前でスピードを落とした。左の方に女子校生のグループが信号待ちしていた。彼女らの1人が「・・美、がんばって、力を出し切ってよ」と叫んだ。右側の歩道を見ると自転車で通り過ぎる女生徒らしき人が手を振っていた。運動部の大会があって、左側の友だちがエールを送っているふうだった。間にいる私に向けられたことばにも思えて、ちょっと悪戯心がわいてきた。
「おう、分かった。がんばるから」と左側の女生徒たちに向って手を振った。すると、彼女らにうけたのかどっと笑った。(あの、おっさん何をかんちがいしてるんだ~)と内心思ったにちがいない。とにかく、笑いを提供し気持ちが和んだ。
 笑いは他の動物にはない人間だけの特徴なのかもしれない。相手に優越感情を抱かせる笑い話しこそ人間関係に角が立たず円滑にさせる要素で、免疫力もアップさせるといわれる。

◎プロフィール

伊豆から甘夏みかんや、焼きのり、手づくりのひじきが届いた。一期一会と思っていたが恐縮する。

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