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エッセイSP(スペシャル)

健康診断

冴木 あさみ

2017年4月 3日

 年に一度の健康診断。今年も受けた。病気の早期発見早期治療のために受ける検診ではあるが、検診前の精神的重圧感は逆に身体に悪い。何が嫌かといってあのバリウム検査と検便である。採便は検査日から4日以内に日を変えて2回となっている。採便作業自体気分のいいものではない。検診日をカレンダーに記しその日が近づくにつれ緊張感が増す。トイレはすっきりするための場所なのに、採便キットを置いてあるというだけで心の片隅に石を抱えた感じ。
 採便ハードルをクリアしホッとするも、当日のバリウム検査という高いハードルが待っている。これまでは検査技師は別室でガラス越しに指示を出すものだったが、今回お世話になった病院では厚い防御マットを身体に巻き付けた若い男性技師が側に付き添い画面を確認しながら検査を行った。身体を覆っているとはいえ、頭部と四肢はむき出しである。胴体以外は被爆しても構わないわけではなかろうにと、他人事ながら心配する。
 バリウムを飲む前の腹部を膨張させる発泡剤。こういう部分において、科学の進歩はさっぱり見当たらない。いかにも「金属飲料です」と主張する重いバリウム液体。頑張って一気に飲もうと思いきや、口に入れた瞬間「口に含んだままでまだ飲まないで」の意外な指示。目の前真っ白、口中に広がるバリウムの味。
「はい、少しずつ飲んでね」
 これはまさしく拷問だ。検査台の上で右回り、斜め横でストップ、はい今度は左…。ごろごろ転がる。検診後の数日間は体調面で低迷するのが常だ。
 先日、多機能性成体幹細胞の発見のニュースがあった。東北大学の出澤真理氏の研究チームが発表したものだ。骨髄や真皮、脂肪細胞組織内に元々存在する自己複製能力のある多機能性細胞で、それを採取し血中に投与することで損傷部分の再生ができるというもの。一つの細胞が様々な細胞に分化し、自己複製も可能。自分の細胞を利用し、しかも大掛かりな手術なしに損傷部分の再生を行うという夢のような医療だ。英語の頭文字を取り、その名はミューズ細胞。ギリシャ神話の女神と同じ名が、やけに神秘的印象を与えている。期待されるのは急性肝炎や脊髄損傷、心筋、脳梗塞などの治療に可能性をもっているらしい。
 そういえば多くの研究者を巻き込んだスタップ細胞問題はどうなったのだろう。真相究明できずに埋もれたままか。世間の喧噪の裏で淡々とこうした研究が行われ進歩していることに感服する。
 診断結果表の高いコレステロール値にため息つきつつ、私は両の手を合わせる(ミューズ細胞よ、もしもの時は頼む!)

◎プロフィール

春用の軽いコートに衣替え。寒さによる肩こりもなくなり、やっぱり春はいいですね。桜が待ち遠しい。

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