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エッセイSP(スペシャル)

ナットウキナーゼ・ネバール人

梅津 邦博

2017年1月23日

 近頃の納豆は美味しいとは思えない。小粒納豆など幅を利かせているようだが、妙だ。小粒とは大豆が成熟してゆく前の小さな段階のもので、大豆本来の旨味が出ていないものなのである。また、表示に「遺伝子組み換え大豆ではない」と記されているが、本当かどうかはわからない。
 メーカーがちゃんとした豆で作っているとはなかなか信じられず、自社に都合のいい豆を仕入れているのではないかと思ってしまうのだが。いったいどこのどういう豆で製造しているのかが判らない。たとえば十勝産大豆だと表示するのなら、どこの農場で生産されたものかなどの情報があれば少しは安心ではないか。
 冬のある朝、いや、季節など関係ないが、顔を洗ったのちに朝食だ。ご飯と味噌汁におかずは、ぼくの場合メインは納豆である。
 ふたを開けて30回くらいかきまぜ、それからタレとカラシを入れてまた少しかきまぜる。それは自分にとって世の中というものをグルグルグルとやってとりあえずチャラにしているようなもので、そのグルグルグルチャラとはもう少し具体的にいえば、不浄で退廃的なものを圧し潰して蹴散らし、正しい心?を増強させてゆくという作用があるのだ。糸が増殖してネバリが強く出た納豆を食べる我は、ネバール人化しているに違いない。つまりネバリとナットウキナーゼが体内に充満し、メンタル面においてもシツコサがト―ゼンのことながら育って強靭なものへとなってゆくのだ。
 いやはや、実を言うとぼくは、ホントは、しなやかにしてカヨワイ人間なのです。陽の光がふりそそいでいたりあるいは雪がしんしんと舞っていたりしているのを眺めると、それだけで感極まって弛緩してならない。どうもイメージとは違うではないか。どうやらぼくの場合のネバリは、時間とともにやさしく感受性が強い性質へと変えてゆくらしい。
 しかしネバリといっても納豆はヌルヌルとやわらかい面を持っているのだが、それと比較してぼくの場合は同じネバリにしてもそれはやわらかくなく、正直にいえば体内でいくぶん水飴的に変換されておよそこの世の美しいものや素晴らしいものだけを引き寄せて、ちょっとでも付いた途端に二度と離れることなど不可能というような特性があるのではないか。なんだかハエ取り紙みたいだ。
 でも下品ではありませんので気にしないでください。素敵な女性が目の前にいたらハグしたくなるのだが、いや、そんなことはしませんよ、ご安心ください。 わんだふる大豆よ、納豆よ、偉大なるかなナットウキナーゼ・ネバール人!

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。北海道新聞コラム「朝の食卓」執筆者。

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