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エッセイSP(スペシャル)

冷凍食品

冴木 あさみ

2016年10月 3日

 「なかなかいけるよ」
 「下手な店より美味しいかも」
 一人暮らしをしている五十代の数人が集まって、食事作りどうしてる?という話から始まった。同居していた親が他界したり老人施設に入ったり、子供が巣立ち、夫と死別したり離婚したり、それぞれ事情は違えど現在一人暮らしをしているという境遇は一致している。家族が揃っていた頃はどんなに忙しくても苦も無くこなしていた調理。異口同音に「でも自分のために作る気力がね~」と、ある種の連帯感が生まれる。
 「私は冷凍食品に助けられていて、結構活用してるの。パスタはお勧め」
 冷凍食品か…。子供の弁当にさえ使ったことは殆どなかった。長男が高校生の時、下宿している友達の弁当の中身が全部冷凍物で可哀想だと言っていたことがあった。主婦・母としてのプライドというよりも、やっぱり手作りに勝るわけがないと、市販の冷凍食品を買ったことはない。回顧に浸りつつうわの空の私に「一度食べてみたら?種類も豊富だし、小腹がすいた時にもグッド」と肩を叩かれた。
 だいぶ前、最寄りの地下鉄駅直結の大型スーパーD店がI店に変わった。いつも仕事帰りに利用する地下の食料品売り場がそれに伴い新装された。床の上に設置され、上からのぞくタイプだった箱型冷凍ボックスは、高さ百八十センチ程のガラス扉のついた棚になった。しかも冷凍コーナーのスペースが以前よりも格段に広く取られている。こんなに需要があるのかと驚いた。
 どれ、お勧めとやらを騙されたつもりで食べてみるか。ショーケースの中に整然と並ぶ冷凍食品。その種類といったら! 包装の写真もいい進化を遂げて食指が動く。和洋中、主菜・副食・デザートと満遍なく、ホテルのバイキング会場を歩いているような気にさえなってくる。見慣れないので一つ一つ確認するにも時間がかかる。取りあえずお勧めはパスタだ。パスタに絞って攻めてみよう。といっても各社数種類のラインナップ、値段も違う。さらに大盛りも発見。う~ん、脳が混乱する。冷凍食デビューはプレミアムに決め家路を急いだ。
 期待したほどの感動はなかったが、疲れた日には5分で食事にありつけることを考えれば便利でそこそこの満足感は得られるに違いない。
 札幌市の人口一九〇万人。単身者世帯は四十万近い。健康を考えて毎食料理するのは理想だが、出来合いのものに頼りがちだ。冷凍食品もこれから上手に取り入れる工夫もしていこう。
 最近、介護食のコマーシャルもテレビで流れている。ベビーフード同様高齢者向け食品が気軽に購入できる時代になってきた。高齢化社会を実感するも、十年後の自分がどうなっているのかなんて、うまく想像できない。
 

◎プロフィール

さえき あさみ
大通り公園のオータムフェストは毎晩盛況。十勝のグルメもビールに合う!

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