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エッセイSP(スペシャル)

ニッコリ・・

たかやまじゅん

2016年8月22日

 ここに住んだのは、10年前になる。そのころ、昼時になると側の空き地に軽のワゴン車が来て、弁当を並べていた。すると何台か車が集まり、女性たちが弁当を積んで出掛けて行く。彼女たちは、道ですれ違うと笑顔で会釈をしてくれた。やがて、そこの弁当を買う内、自然と言葉を交わすようになった。
 数年前には、4,5軒離れたところに移動し、プレハブに幟が上った。弁当の種類も増え、フライや唐揚げが調理される匂いが漂ってくる。近くの専門学校の生徒達に唐揚げが人気のようで、中には10個の注文があるようだ。休憩時間には行列が出来て、この学生たちが引けると配送のトラックや営業車が停まる。
 オーナーの吉田光二店長は、外食産業勤めから独立し弁当の販売を始めて15年経つそうな。「周りにコンビニが増えたこと、保健所への届け出の細かさ、事業所訪問は大手との競争が激しい、メンバーが変ると慣れるまでたいへん」などの話を聞かされていた。
 リニューアルしたシネコンにチケットを買いに行くと自動発券機が増え、カウンターは以前の半分だった。係の女性が画面を見て発券し、取り扱いの説明だけはスラスラ喋り、笑顔やお礼の言葉もない。ところが、グッズ売り場では、終始ニコニコして、最後に「ありがとうございました」と頭を下げる。同じフロアで、こうも違いがあるのは個人差によるのか・・思わず、こちらも「ありがとう」と口から出た。
 効率を考えるとシステム化も必要だろうが、その前に大事なことが忘れられているような。教えられてない!またはマニュアルにない?ことは言えないのかと考えさせられた。人と接する仕事で、好感を持たれることを指す愛想と言う二文字があった。携わる人の言葉や表情で「来てよかった」「観てよかった」「買ってよかった」と人による心のこもったサービスを感じる筈で、友人にそんなことをメールすると「愛想は別料金かもね・・」と返ってきて苦笑する。
 今日も弁当販売のビストロ・コウに寄ると「いらっしゃいませ!」と元気な声を耳にした。現在、40代後半の彼が、「いつか小さくともレストランを構えたい」と抱負を語ったことがあった。ふと、その店が開かれた時、スタッフはどんなものかと思い描いてみる。きっと今と同じように明るく、ニッコリと迎えてくれるに違いない。

◎プロフィール

〈このごろ〉最初が道庁脇の歩道で、次は中島公園だった。後頭部にバサッと衝撃があり、行く手の木立に黒いものが止まるのを目にした。

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