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エッセイSP(スペシャル)

雲上を翔ける

梅津 邦博

2015年5月18日

 唯物史観の歴史が長いことつづいて、今まさに恐るべき混迷時代である。世界のあちこちで破壊型人間が溢れて駆け廻っているのだ。自然界も壊れ出している。すでに世は破壊へと突き進んでいる。もうあらゆる面で終末を迎えるほかなくなってきているのではないか。しかしそんなことはありえないなどと考えているオメデタイ人間も多いのではないか。
 アベソーリが本気で、経済をよくする、原発を稼働させてゆく、日本を守る、などと説いているが信じられない話なのだ。いつから彼は神になったのか|。
 彼らは濁った頭で原発を再稼働させると考えている。大いなる意思の発動により超天文学的な時間をかけて創られたこの美しい地球を護ってゆかなくてはならないのに、何故、原発を稼働しなくてはならないのか。経済発展のためにと言うが、ひとたび事故が起きて放射能が漏れだしたら、現代の科学力では完全制御は出来ないのである。この完全自明の理をなにゆえに無視してゆかなくてはならないのか。環境を破壊させてしまったらどうするのだ。まさに狂気としか言いようがないではないか。
 神々が創られた万象には掟というものがあり、それを壊すと天津(あまつ)罪と言って恐るべきミソギを蒙るということを知らないのではないか。

 3月下旬、所用により上京する。
 帯広から羽田へと旅客機が離陸した。陽の光が射さない曇った空間の中を飛びつづけていると、やがて胸元の辺りに光が射した。機窓へ振り向くと、雲上に出ていた。
 「ああ…」
 と感じ入ってしまった。
 濃い雲が横一直線にテーブル上になっていて、その上部は真っ青な九天の大空が広がっていた。極限の美空景観だ。
 神代七代と言われる天地創造の砌(みぎり)、天地が創られて収まった当時の世界がそんな感じだったのかなという気がしてきた。
 空と雲との境目辺りへ眼を凝らして見ていたら、気流の関係か何かなのか所々で、少し土埃が舞い上がっているみたいに僅かに雲の表面がささくれ立って跳ね上がっていた。
 「すごいな…」
 まるで見えざる異次元の神々たちがなにかの想いによってその線上を翔けて行った直後の状態に見えてならない気がしてきた。肉体を持たない神々たちは万象において、それぞれの立場におけるみ働きの役目があって働かれていることに、思いをめぐらせていると気が遠くなりかける。
 宇宙最高神がいて、次に神代七代の神々がいて、その下に四十八の神々がいるのだ。神々たちは地上の汚辱にまみれた社会を見て涙しているに違いない。

◎プロフィール

帯広在住。自営業。文筆家。
著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)
銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)
喜久屋書店/ザ・本屋さんにて発売中です。

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