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エッセイSP(スペシャル)

演じる人々

冴木 あさみ

2014年9月 1日

 久しぶりに演劇を観に行った。札幌には数多くの劇団があり毎月何かしらの公演がある。もっと足を運びたいのだが狭い劇場の椅子は固くて辛い。背もたれの無いベンチシートで隣人と接近して座る場合は自由に身体も動かせず熱気だけがムンムン。体力的に余裕のある時に限られてしまう。
 観客の多くは十代から二十代の若者達。五十代の私はきっと傍目には出演者の家族か劇団関係者に思われているかもしれない。隅にちんまり座っている年配者を発見すると(出演者のお父さんかな?)と私がそう思うのだから。
 今回観に行ったのは演劇コンクールだった。某会館の小ホール。もちろん座席の状態も良くゆったりと鑑賞できた。札幌市内の八つの劇団がエントリーし、決勝を目指した力作が上演された。優勝団体は全国大会への切符を手に出来るとか。予選の前半四つの作品を観たのだが、各二十分間の短編作品ということもあり、シンプルで解りやすい内容のものばかりだった。これも優勝獲得を意識してのことかもしれない。
 若者主体の演劇は性を扱ったものが多い。それは何十年も前から変わっていない気がする。文芸の世界でも性を大胆に、あるいは赤裸々に、あるいは新しい表現で取り上げたものが話題となってきた。本なら読む読まないを選択する自由があるが、演劇となるとその部分の表現だけを拒否する術もない。眉をしかめるほどのものはこれまでなかったが、何故ここで性描写が必要なのかと首をかしげることは何度かあった。観客席には演劇部の部員だろうか、高校生も…。決して爽やかとは言えない性の取り扱いを不適切と思うのは自分が若くはない証拠なのだろうか。

 女と男の性差とは何であるのかという疑問や神秘性を表現したいのだろうが、一筋縄ではいかないテーマだ。だから面白いとも言える。私も物心ついたころ、母親に「男の人と女の人以外いないの?」と聞いたことを覚えている。今はニューハーフも女装家もお姉と呼ばれる人もいて、男と女の間には様々な形態が存在しているのでわけが解らない。でもテレビに出ている女装家などに不快感はない。最低限の美をクリアしているのはエステや医学の進歩の賜物だろう。コメントもしっかりしているので、要は見てくれではなく視聴者はその人間の中身を受け入れているのだと思う。
 汗だくで舞台で演じる若者たち。仲間と一つの作品を作り上げる熱意。演じる姿一人一人、それ自体が一つの作品のようにも思える。

◎プロフィール

さえき あさみ
札幌市在住。福祉施設勤務。
写経・手話の勉強・南の島への旅行が今年一年の計。

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