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エッセイSP(スペシャル)

イスで・・

たかやま じゅん

2014年2月17日

 若いころから歯に悩ませられ、差し歯・ブリッジは数知れず、転勤や引っ越しの度に歯医者を替えてきたが、いまは家の近くで定まった。
 オレンジ色の「かをるデンタルハウス」と書かれた看板が目に留まり、女性の先生かと飛び込んだら男の先生であった。ある日、家の近くで先生とよく似たマラソン姿の人を見たことがあり、後日に尋ねたところ主要なマラソン大会には出場されているそうな。以来、院長の江戸馨一先生に診て貰い七年になる。
 室内の色合いもオレンジが基調の明るい雰囲気で、BGMでモダンジャズが流れ、スタッフのコスチュームも季節ごとで変わり、歯の治療は痛いと思う先入観を払拭してくれた。先生から「この歯は出来るだけ持たせましょう」の言葉に安心感を持った。
 診療中の出来事がある。イスに座りヘッドホーンからリラクシング風の心地よい音楽が流れ、口の中を触られてるとウトウトしてしまう。「口開けて下さい!」と言われることもしばしばで、診療台の背が倒れ始め「眠ってはならないゾ」と思えば思うほどお休みモードが働く。朝一番の予約であるから、雪かきで疲れた身体には恰好の座り心地になっていた。治療で麻酔を打たれようものなら瞬時に眠りの世界へと導かれてしまう。鼾も伴って先生やスタッフにさぞかし迷惑を掛けていることだろう。
 イスと言えば美容室も侮りがたい。以前に住んでいたマンションの向かいにあり、髪の癖など総て分ってくれているので、引っ越しても通いかれこれ二十年経った。
 雑誌やテレビでも紹介されたこともある「ヘアーズビシュ」は、市電のロープウェイ入口電停前なので街に出たついでに立ち寄る。イエローを基調にした店内は落ち着いた趣が漂う。時々、小笠原誠店長から「髪が伸びるとうっとうしですよ」とメールがある。前より短くして、ちょっと伸びると気になるのでタイミングが良い。
 店長始めスタッフも話好きで「こんどはどちらにお出かけですか・・」と問われる。たいがい、旅の前に寄るので的を得ていた。
 ここのイスでも座った途端に居眠りが始まり、カットがやりにくいだろうと思いつつ、髪を触られていると眠りに陥ってしまう。シャンプー・髭剃りが済むと「おはようございます」と言われ、目が覚める。
 鏡に写る軽くなった頭で下の方へ目をやれば、ブルーのシャツがウエストからはみ出ている。よく視ると胴回りの贅肉であった。

◎プロフィール

〈このごろ〉観た映画のベスト・ワンがウィリアム・ワイラー監督「ベン・ハー」。最近、CGを使ってリメイクされた。製作者は監督の息子だそうな・・

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