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エッセイSP(スペシャル)

はーとふる・・

たかやま じゅん

2012年12月17日

 毎日、放課後ともなると教室からコーラスが流れて来た。土曜日曜は朝から聞こえその爽やかな歌声に癒され、直に聴ければとの想いで校舎を見上げていた。
 たまたま学校の前を通り掛かった時、校門にいた学校の人に「いつも頑張ってますね」と思わず告げてしまった。その方は教頭先生と判り、この一言が切っ掛けで渡された案内チラシには「ミニコンサート」の日時があり「保護者だけでなく近隣の方も聴いて下さい」と記されてあった。
 当日は周りと連れ立ち初めて校舎内に入ると生徒たちから「こんにちは」と歓迎を受け、その清々しさで学校の匂いに溶け込んだ。
 ロビーの特設会場で最前列に陣取ると「メンバーは一年生と二年生です」と紹介があり、女生徒八人による『野ばら』から始まった。シューベルトの名曲で合唱の定番になるが、やはり緊張した面持ちのようだ。
 多かれ少なかれ人前で歌ったり話す時は緊張するものだが、最初のひと声が出るとあとは流れに乗れる。
 二曲目の童謡『赤とんぼ』で瞼を閉るとトンボの舞う姿にいろいろな情景が重なり歌声が沁みてきて、目を開けると明るくなった彼女たちの顔があった。
 曲がリズムのある手鞠歌『あんたがたどこさ』に変ると自分たちのペースを掴んだようで、こちらの気持ちも軽くなってくる。今は見掛けることもないおさげの娘たちが遊んでいた路地裏や空き地が浮かんできた。
 昨年の3・11以後、人々が願いを込めて唄う唱歌の『ふるさと』がラスト曲となった。歌詞を耳にしているうちこころが震え懐かしさが込み上げ、故郷に居るかのようになるのは、歌の持つ力の大きさと歌唱の素晴らしさではなかろうか。
 歌い終えた八人の満足気に胸を張る姿が輝いて見え、日頃の成果が選曲に表れたと言えよう。今まで耳にしていたのを目の前で聴けたことで学校が身近になり、後にパソコンで検索すると大会でも優秀なグループだそうな。
 短い時間だったが中学時代の出来事・・ワイワイ騒いで立たされた廊下、最初のバスが着いても最後尾は遥か向こうだった修学旅行などの光景が浮かんでは消えた。
 遅れて来た雪が道を白くする。登校する生徒の中にはあの八人もいるだろう。ご近所とする朝の雪かきが、彼女たちの足元の確保に繋がればと弾みになる。
 そして次の『はーとふるフェスティバル』で、さらに磨きを掛けた歌声に再会するのが愉しみとなった。

◎プロフィール

〈このごろ〉初めて接したのが名古屋の御園座、その後はシネマ歌舞伎で観ていた。笑顔に愛嬌があり、伝統を踏まえ挑戦する舞台の斬新さが見所であった。十八代目勘三郎丈逝く・・早すぎるよ中村屋!

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