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エッセイSP(スペシャル)

どんよりとした曇り空の下で

梅津 邦博

2012年12月10日

 器用さがなく生き方が下手なせいからか、気候に左右されることが多い気がしてなんだか原始的というか動物的な気もするのだが。そもそも人間というものはその生存している環境の影響を常に受けているわけで、そこを正しい思念で現実に対応することがまっとうな人生だなどと言われたらそれは至極当然なことかも知れないが、余計なお世話でもある。
 かつて冬がいちばんつらかった。仕事も人との付き合いも女性との会話もなにもかもパリッとしていなかった。そんな状態だから厳しく凍える冬がやって来ると閉じ込められてしまったような世界に、居ても立ってもいられずどうしょうもなかった。あまりにもなさけないことで、気持ちの隅に抜け道をつくるかのように夜になるとネオン街を徘徊しては酒浸りになっていた。寒風吹き荒ぶ夜の道を歩いて、いつしか自分は駄目になって終わってしまうのではないかという恐怖感のようなものが募ってきた。このままではいけない、なんとかしなくてはならない。そのためには精神的に苦手な避け難い冬を好きになることからやっていかなくては、と気持ちや考え方を変えようとしていった。そうして気が付くといつしか冬を好きになっていったのだ。そんな意識の作用が派生していったのか、好きになれなかった曇りの日も時とともに気に入るようになってきた。
 どんよりとしても暗く重苦しい空模様のときは、窒息感さえあって軀も気分も重くなってしまう。それが同じどんよりとした空でも、明るさがある場合はちがう心地がするのだ。それは何かがこれから徐々に良い方向へと向かってゆくような趣が感じられ、清々しささえ伝わってくるふうなのだ。そんな日は街へ散策するように出かけ、ガラス張りのレストランなどでコーヒーとパウンドケーキで外界の光景を静かに眺めて気分を愉しみたい。それは一種の平穏でもある。
 しかし世界は混沌として凄まじいばかりの世になってきている。異常な人間が増え、紛争が勃発し、異常気象も増大して万象が壊れはじめてきている。人類も地上も破滅へと向かっているのではないか。それらを止めて変えてゆくのはひとえに人類の想念転換しかなく、「急げ!」と叫ばれているのではなかったか。
 暗い方のどんよりとした曇り空は雨が降りそうだ。降りはじめて雨量が増えてゆくと大地を街を洗いつづける。それは崩壊への序章ではないのか。かつて今から一万二千年前、歴史上有名な「ノアの大洪水」があった。その時代、人々は紊乱な生き方をして神は怒りを発した、と伝えられている。現代はそれによく似ているのではないか。
 地球が出来て過去に地球的規模の大天変地異が六回あったとされ、恐るべきことに次は七度目が目前に迫ってきていると言われているのだ。
 コーヒーとパウンドケーキを頂きながら外界の光景を愉しみたい、どころではない。この世は暗澹たる世界になってしまっている。

◎プロフィール

帯広在住。自営業。文筆家。
元、北海道新聞十勝版「防風林」執筆同人。
プラスワン「エッセイスペシャル」執筆同人。
著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。
趣味=素潜り、映画、旅、風景鑑賞

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