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エッセイSP(スペシャル)

記と紀・・

たかやま じゅん

2012年7月17日

 日本最古の歴史書「古事記」が編纂され1300年になる。語り部の稗田阿礼が暗唱するのを太安萬侶が編纂した。
 この壮大な物語の舞台を訪ねたいと国生み神話の島へ渡った。高速バスは神戸三宮ターミナルを後に舞子から明石海峡大橋を跨ぎ九十分で島に着く。
 台風は去ったが低気圧による雨模様。山城で知られる洲本城へはタクシーを手配する。麓に戻り路線バスに五十分ほど乗る。平日で乗客が少ない。運転手と挨拶を交わすお年寄りの手に薬袋が見えた。
 畑の中のこんもりとした森が古墳を連想する。やがて標識に「御陵」の文字を見つけた。後に調べると「日本書紀」を編纂した舎人親王の御子で、天平時代の第四十七代惇仁天皇陵と識った。
 終点の福良港に着くころ雨脚が激しくなる。クルージングの船体に迫り、世界遺産に登録されても遜色はない「鳴門のうず潮」の迫力に感嘆の声を上げた。次は徳島側から視たいものだ。
 折り返しの高速バスで国生みの舞台となる自凝島神社に向かう。二十分ほどで高架上の榎列停留所に着く。乗客を見送りに来ていた土地の方に道筋を尋ねる。「通り道だから車にどうぞ・・帰りは川筋を戻ると分かり易いでしょう」の言葉が心に沁みた。
 畑の中に佇む朱の大鳥居は「日本三大鳥居」に数えられる。平安神宮・厳島神社が観光地として賑わうのに比べ人影もなく、社殿はひっそりとして神秘さを漂わせている。教えられた道を辿り、再び高速道路でイザナギ神宮へ乗り継ぐバスに乗った。
 港の案内所で「榎列を出て神宮への乗り継ぎ間隔は二分しかないので、必ず運転手に話して下さい」と言われたことを告げる。暫くすると津名・一宮停留所の向かい側には発車時刻を過ぎた路線バスが待っていてくれた。田舎道を往くと伊弉諾神宮前に到着する。
 雨は上がったが梅雨空が覆っていた。町名に多賀とあった。昨秋、曇り空の中で同じような夕刻に琵琶湖の多賀大社を参詣していた。国生み神話は「古事記」が淡路の多賀、「日本書紀」で淡海(近江)の多賀が舞台とされる。
 因みに、淡路島と琵琶湖を地図上で反転させ重ねると一致する。日にちこそ違え同じ天候と同じ時刻で、二つのあわじに多賀を訪ねたのは偶然のことなのだろうか・・と思いつつ帰路のバスに揺られていると『ものの始まりが一ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島・・』と寅さんの語り口が聞こえてくるようだった。

◎プロフィール

〈このごろ〉家の近くで定期的に交通取締りが行われる。警察車両がいることで地域の防犯と交通速度の啓蒙になった。

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