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エッセイSP(スペシャル)

五十年・・

たかやま じゅん

2012年6月18日

 昭和三十八年六月五日、一枚のレコードを買う。萌黄色のジャケットに詰襟姿。前奏だけで誰もが判り、詞を諳んじ、歌声は知らない人を数えた方が早い。
 のちに文化庁が選定した「日本の歌百選」に収められ、後世へ残す日本を代表する歌となる。しかし、その時点で聴く術はなかった。
 一週間後、父から包みを渡された。箱の中には、前々から欲しいと願っていたポータブルプレーヤーが見えた。十四歳の誕生日のことだった。
 学園生活に馴染み始めた夏のある日、高校入学を一番喜んでいた父は病で逝った。元気でいたら、好きな歴史や文学を探求する道も選ばせてくれたかも知れない。
 上京し生活の糧を得るようになり、歴史の本やレコードを買い、映画館にも通った。仕事に役立てようとベストセラーのドラッカーやトフラー、水平思考なども読み漁った。観る、聴く、読むことを介し多くの知己を得た。
 拙文を綴れるのは帯広に勤務していた頃の繋がりになる。名古屋に赴任したことも知識を深める機会となった。古に云う尾張・・織田信長始め戦国武将や後の大名を数多く輩出した土地柄。単身の休日は歴史を間の当たりに辿った。芸どころで歌舞伎や芝居にも触れた。
 行く先々で仕事に留まらず友人が出来る。その交流は途切れず、ラジオで喋ることに繋がって行く。
 二年ほど前から旅を始めた。単に観光地を回るのではなく「名城」と「世界遺産」巡りをテーマとした。今まで培った知識の拡がりと地元ならではの音楽探しに弾みがつき、旅先で同宿した人たちと交流が生まれた。
 同世代に「仕事を離れたらどうするか」とか「時間は出来たけどすることが無い」との声を聞く。反面、「家庭菜園」や「釣り三昧」などアウトドア志向や自らのブログを立ち上げた人も少なくない。
 かの信長が今川義元の大軍を前に、籠城戦を張っていたら歴史は変わっていたであろう。「人間五十年~」と幸若舞の敦盛を舞い、桶狭間まで出陣したからで、そこに至る水面下での周到な準備が功を奏したことは歴史が記す。
 多くの人から後押しを受け、こころの引き出しに仕舞って置いたものが集大成となるラジオ番組を構成した。
 『聴かせましょう!五時間五十曲~舟木一夫芸能生活五十周年~』・・舟木一夫さんの五十年が即ち自分の五十年。
 平成二十四年五月二十日正午、地方のFM局から全国に向け「高校三年生」のレコード盤で始まった。
 

◎プロフィール

〈このごろ〉両足に痛みを感じた。「もしや・・」と検査を受ける。血糖値・尿酸に変化はなく、レントゲンから診断されたのは、歩き過ぎであった。

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