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エッセイSP(スペシャル)

美ら国エレジー・・

たかやま じゅん

2012年3月19日

 小学生の頃に切手ブームがあった。ストックブックに収めた色とりどりの図柄の中で、大蔵省印刷局製造、3¢、守禮門復元記念と書かれた「琉球切手」に外国を感じた。
 日本の海賊に滅ぼされた琉球王の遺児たちが、室町末期の山城の国を舞台に王城再興を図る昭和三四年の東映映画「新諸国物語・黄金孔雀城(四部作)」を観て異国に心をときめかせた。
 天気予報は吹雪。ツアー添乗員の確認電話でも天候を危惧していた。当日の朝、薄っすらと積もっていたが空に雲はなかった。千歳を無事に飛び立ち、乗り継ぎの関空でジャケットは手に持った。那覇空港は降りた途端トレーナーを脱ぎ、Tシャツになった。四日間の現地予報は、曇り~雨マークで二一度と出ていた。
 夕暮れの国際通りから公設市場に足を踏み入れる。人混みから覗き込むと、えもいわれぬ魚介類が並んでいた。夕食は「島歌」のライブショーを堪能しながら、泡盛と沖縄料理で舌鼓を打つ。夜半、雨になり翌日の首里城が気に掛かった。
 カーテンを開けると窓の外は薄暗く、夜明けに時間差があった。路面は濡れていたが、バスが走り出すと上がった。守礼門を潜り再現された首里城を眺めると中国の紫禁城のようだ。石垣の組み方など今まで眼にした日本の城と違っていた。
 城内にある正殿の朱柱と金龍の眩さが、信長の館で眼にした安土城天主閣に共通するものを感じた。琉球は早くからアジア圏との交易国であり、諸外国の文化が琉球を経由し日本へ伝えられたと言えよう。異国文化を採り入れた織田信長であるから想像に難くない。
 琉球王家の墓所である玉陵、朝の連続ドラマにもあった金城町の石畳、最終日に沖縄で城はグスクと呼ばれる座喜味城を訪れ、世界遺産『琉球王国のグスク及び関連遺産群』に浸る。
 滞在中には、おきなわワールドのエイサイショーで琉球音楽を聴き、踊りの輪に身振り手振りで参加。新原ビーチのグラスボートで手の届きそうな魚たちに出遭う。美ら海水族館はイルカショーの歓迎を受け、パイナップルハウスでの試食三昧。万座ビーチや宿泊したリゾートホテルからの眺めも素晴らしく「二月の沖縄は雨だよ・・」と耳にしていたが、日差しが出ると頬がヒリヒリしてくる。
 この地で忘れてならないひめゆりの塔で献花。街や歴史を破壊したのは一部の人であって、それを復興させたのが多くの人である。しかし、この美しい島には今なお『見えざるパスポート』が存在していることも否めない。

◎プロフィール

〈このごろ〉街中の喫茶店で、歌舞伎・俳句・能楽など十幾つのサロンが催されている。先ずは歌舞伎談義に華を咲かせてみた。

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