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エッセイSP(スペシャル)

ダークイヤー

冴木 あさみ

2022年12月 5日

 結局三年たってもコロナの終息は見られず、令和四年も終わろうとしている。長いようで、慣れて過ぎてしまえばあっという間で、また「一年は速いね」という常套句の挨拶を交わしあう時期となった。この一年、国内外共に暗いニュースの多い年だった。
 今年は身近な人が二人黄泉の国へと旅立った。二人とも私と同じ歳。プライベートで親しい付き合いはなかったが、私の生活の一部にいつも存在する人達だったので、精神的にまいってしまった。それぞれ異なる部位ではあったが、共に癌によるもの。健康診断で早期発見、早期治療を呼びかけられているが、相変わらず死因のトップに悪性新生物が居座っている。身の回りの整理をしていると聞いたとき、この胸にこみ上げてきた感情は言葉にはできない。
 私も毎年しぶしぶ健診を受けているが、身体の老化は確実に進んでいることを数字で突きつけられている。私はこれまで人生を十分楽しんできたと思えることに感謝している。だから運命に抗う気持ちはない。「現在命を脅かされていないから、そう軽く言えるのではないか」
そう問い詰められれば、そうかもしれない。でもこの三年、誰もが命の危険を感じつつ過ごしてきたはずである。
 自分が生きている間に体験するとは思わなかったウイルスの世界的まん延。予防のためのワクチンなのに、接種を起因として命を落としたり、重大な副作用によって体の自由を奪われた人もいると聞いて、理不尽でならない。まるでロシアンルーレットのようだ。
 職場には年齢の高い利用者が多いため、既に五回目の接種を終えた人もいる。加えてインフルエンザ予防接種も打って平気の平左とは、なんとも強靭な肉体だとつくづく感心する。様々な障害を抱え、持病の薬も欠かせない障害者よりも、病気知らずと豪語する職員の方に副反応や後遺症が出ているというのは、この狭い範囲における単なる偶然か。
 私はと言えば、二回目接種による人生初の酷い副反応を経験した後、因果関係は分からないが、数か月に及ぶ口内炎や口唇ヘルペス、口角の爛れに悩まされた。自己判断でリタイア。三回目を打つ勇気なしのヘタレである。
「感染したらどうするの?」
非難めいた口調で問われたこともあるが、周囲でこれまでに感染した人達は皆三回以上接種済みの人ばかり。ワクチンについて云々言うつもりはない。自分の体は自分で守るしかない。自分の信じる道を進むだけだ。繰り返すが、私は確固たる信念があって接種を止めたわけではない、ただのヘタレだ。ただどんな理由でどんな死に方をしようとも「これが私の運命」と後悔なく受け入れられるように今を生きたいと、こっそりにこぶしを振り上げている。

◎プロフィール

●作者近況
キッチンの蛇口交換を依頼して1か月。未だ交換されていない。なにくそ、来年は今年よりいい年になるぞ。

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