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エッセイSP(スペシャル)

除  菌

冴木 あさみ

2017年6月 5日

 「今の胃カメラ検査は苦しくありませんよ。喉の麻酔と鎮静剤の投与で、お疲れのサラリーマンの中には寝てしまう方もいますから。」
 病院のコーディネーターの言葉を信じて挑むしかない。というのも先般の健康診断で胃バリウム検査の結果慢性胃炎の疑いで再検査の通知が届いたからである。毎年バリウム検査の一週間前から憂鬱な気分になる。検査時の胃を広げる発泡剤、バリウム、下剤の服用で、その後も一週間体調が悪い。病気の早期発見のために体調を大きく崩すのだ。
 人生初めての再検査。あと数年で還暦の身ゆえ、何があっても不思議ではない。平常心でいたはずが、『消化器外来』を『消化器外科』と読み違え、外科に直行して受付の女性に優しく誤読を示唆される始末。無意識にも混乱していたのだろう。
 道内最多の胃がん手術実績を持つ病院は、胃カメラ検査の予約がいっぱいで三週間待ちだった。しかし冒頭のような院内コーディネーターの事前説明により随分と気が楽になり、むしろ早く体験してみたい気分にさえなった。
 検査は説明通り。喉に噴霧した麻酔の味のまずさに多少「おえっ」となるも、速攻喉の感覚がなくなる。横になり鎮静剤の注射針が腕に刺さった瞬間、すうっと意識遠くなる。マウスピースをくわえた記憶もない。カメラが喉に入る際反射的に「おえっ」だった気がする。看護師が背中をさすってくれていたので、それがとても心地よく薄れた意識の中でなんと安心できたことか。
「ハイ、終わりましたよ」の声で目覚めた。鎮静剤でフワフワした気分のまま、不快感や苦痛はない。休憩ベッドで三十分ウトウトしながら、バリウム検査との決別に一人ほくそ笑んだ。
 幸い検査結果は問題なく、これを機にピロリ菌除去をすることに。がんの予防項目に取り上げられるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)気になりつつも忙しい日常生活の中、混雑した病院を予定に入れるのは難儀なものである。国際がん研究機関が一九九四年ピロリ菌は胃がんの原因となるものという報告がされて以来、調査・研究がなされている。ピロリ菌非感染者には胃がん発生者が皆無に近いとのこと。懐疑的に見る研究者もいるが、胃がん発症の確率が極めて下がるという数字的な根拠も示されているので試す価値はある。しかも一週間朝晩錠剤を5つ服用するのみ。費用もそう高くはない。一つ難を言えば、この錠剤、糖衣でもカプセルでもなく、恐ろしく不味い。
ちなみに除菌期間中はアルコールとコーヒーはご法度ですので、ビールの美味しい季節を避けて始めるのがお勧めです。

◎プロフィール

さえき あさみ
札幌大通り公園は多くの人の憩いの場。仕事帰りの人間ウォッチングは楽しみの一つであります。

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